受発注システムの導入を検討しているものの、「補助金を使って費用を抑えられないか」と悩む中小企業の経営者は多いでしょう。受発注システム補助金の活用は、2026年度から制度がリニューアルされ、これまで以上に使いやすくなっています。
この記事では、受発注システム導入に使える補助金5選の概要・補助率の比較・申請の流れ・よくある失敗例まで、詳しく解説します。
- 受発注システムとは?導入が求められる3つの背景
- 受発注システム導入に使える5つの補助金を比較【2026年版】
- デジタル化・AI導入補助金で受発注システムを導入する4つのメリット
- 受発注システムの費用相場と補助金活用シミュレーション
- 補助金申請の流れ6ステップと手続きのポイント
- 補助金対象となる3つの主な経費
- 受発注システム×補助金の導入事例2選
- 補助金を活用する際の5つの注意点
- 受発注システム×補助金でよくある質問(Q&A)4選
- まとめ:受発注システム導入は2026年の補助金制度がチャンス
受発注システムとは?導入が求められる3つの背景

受発注システムとは、企業間の受注・発注にかかわる業務をデジタル化し、一元管理するためのソフトウェアです。見積・注文・出荷・請求までをクラウド上で管理でき、紙やFAXに頼っていた業務を大幅に効率化できます。
近年、このシステムの導入を後押しする背景が大きく3つあります。
- 紙・FAX中心の受発注が抱える課題
- インボイス制度・電子帳簿保存法への対応義務
- DX推進とAI活用が加速する2026年の潮流
それぞれ解説していきます。
1. 紙・FAX中心の受発注が抱える課題
多くの中小企業では、いまだに電話・FAX・紙の注文書で受発注業務を行っています。手書きの注文書をExcelに転記する作業は、ヒューマンエラーの温床です。
注文内容の転記ミスや二重発注など、アナログな運用に起因するトラブルは後を絶ちません。受発注システムを導入すれば入力の自動化・リアルタイムでの在庫確認が可能になり、担当者の負担を大幅に減らせます。
2. インボイス制度・電子帳簿保存法への対応義務
2023年10月に開始されたインボイス制度により、請求書への「適格請求書発行事業者登録番号」の記載が義務化されました。加えて、電子帳簿保存法の改正によって、電子取引のデータ保存も必須となっています。
受発注システムを導入すれば、インボイス対応の請求書を自動発行でき、取引データの電子保存も一元管理できます。システム化によって法令順守と業務効率化を同時に実現するほうが、長期的なコストメリットは大きいでしょう。
3. DX推進とAI活用が加速する2026年の潮流
2026年度、経済産業省は従来の「IT導入補助金」を「デジタル化・AI導入補助金」へとリニューアルしました。背景には、単なるIT化にとどまらず、AI活用や業務変革(DX)を中小企業に浸透させたいという国の方針があります。
受発注システムにおいても、需要予測のAI機能や自動発注ロジックを搭載した製品が増えており、補助金の審査でもAI機能の有無が加点対象になっています。業務のデジタル化を検討するなら、2026年がまさにチャンスです。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公式HP
出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました」 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260310001.html
受発注システム導入に使える5つの補助金を比較【2026年版】

受発注システムの導入に活用できる補助金は、大きく分けて5種類あります。
- デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の概要と2026年の変更点
- 補助枠別の補助率・補助額を比較(通常枠・インボイス枠・電子取引類型・セキュリティ対策推進枠)
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)── 独自開発に最適
- ものづくり補助金 ── オーダーメイドシステムに
- 経営基盤強化事業(一般コース)
それぞれ解説していきます。
1. デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の概要と2026年の変更点
デジタル化・AI導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が業務効率化や生産性向上のためにITツールを導入する際、費用の一部を国が補助する制度です。受発注システムは主要な対象ツールの一つで、ソフトウェア購入費・クラウド利用料・導入サポート費用なども補助対象に含まれます。
2026年度の主な変更点は以下の3つです。
- 名称変更:「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」へ
- AI加点の強化:AI機能を有するITツールが審査で明確に評価されるようになった
- 2回目以降の申請要件追加:過去に採択歴がある事業者は、3年間の事業計画策定と効果報告が義務化。未達の場合は補助金の返還リスクがある
補助額は1者あたり最大450万円、補助率は1/2〜4/5(事業者の規模や枠によって変動)と手厚い制度です。申請にはIT導入支援事業者との連携が必須で、事務局に登録されたITツールのみが対象となります。
デジタル化・AI導入補助金の詳しい内容については、「IT導入補助金とは?仕組みや申請方法を解説」で詳しく解説しています。
2. 補助枠別の補助率・補助額を比較(通常枠・インボイス枠・電子取引類型・セキュリティ対策推進枠)
デジタル化・AI導入補助金には複数の申請枠があり、自社の導入目的に合った枠を選ぶことが採択の第一歩です。受発注システムの導入に関連する主な4枠を比較します。
| 申請枠 | 補助対象 | 補助額 | 補助率 | 受発注システムとの親和性 |
| 通常枠 | 業務効率化・DX推進のITツール全般 | 5万円〜450万円 | 1/2以内(最低賃金近傍は2/3) | ◎ 幅広い受発注システムに対応 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 会計・受発注・決済ソフト+ハードウェア | 下限なし〜350万円 | 中小2/3・小規模3/4〜4/5 | ○ インボイス対応ソフトに限定 |
| インボイス枠(電子取引類型) | 受発注ソフトの商流単位導入 | 下限なし〜350万円 | 中小2/3・大企業1/2 | ◎ 受発注システムがメイン対象 |
| セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティ対策サービス | 5万円〜150万円 | 中小1/2・小規模2/3 | △ セキュリティ強化目的 |
特に注目したいのは電子取引類型です。発注側の企業がインボイス対応の受発注システムを導入し、取引先の中小企業・小規模事業者に無償でアカウントを付与して利用してもらう取り組みが対象となります。商流単位での電子化を一気に進められるため、取引先が多い企業には大きなメリットがあるでしょう。
3. 中小企業省力化投資補助金(一般型)── 独自開発に最適
一般型は、自社の業務フローに合わせたオーダーメイドの設備導入やシステム構築を支援する補助金です。パッケージソフトでは対応しにくい独自の受発注ロジックやAPI連携を含むシステム開発にも活用できます。
補助上限は従業員規模に応じ最大1億円、補助率は中小企業1/2(一定範囲は2/3)・小規模事業者2/3が基本です。省力化指数や付加価値増加率などの審査基準が重視され、クラウドサービス利用費や外注費も対象範囲に含まれます。公募回制のため、締切管理が非常に重要です。
中小企業省力化投資補助金の詳しい内容については、「中小企業省力化投資補助金の申請方法!手順・必要書類・注意点を解説」で詳しく解説しています。
4. ものづくり補助金 ── オーダーメイドシステムに
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、革新的なサービス開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資・システム構築費を支援する制度です。
機械装置費やシステム構築費を必須経費としつつ、外注費や知的財産関連費用まで幅広く認められています。受発注業務のフルスクラッチ開発やERP連携を含む大規模なシステム構築を計画している場合に適しています。ただし採択には「革新性」が求められるため、既存パッケージの単純導入では申請が難しい点に注意が必要です。
5. 経営基盤強化事業(一般コース)
一般コースは、経営環境の変化に対応し、中小企業の経営基盤強化を支援する補助金です。既存事業の「深化」や「発展」を目的に、設備導入・システム構築・新サービス開発など多様な取り組みを支援します。
助成限度額は800万円、助成率は原則2/3以内です。賃上げ計画の実施により3/4以内、小規模事業者は4/5以内まで引き上げが可能で、システム等導入費や専門家指導費が対象となります。JグランツによるWEB申請とgBizIDプライムの事前取得が必要です。
経営基盤強化事業の詳しい内容については、「【2025年度版】事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)とは?」で詳しく解説しています。
出典:経済産業省 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」 https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/ithojo/
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/
デジタル化・AI導入補助金で受発注システムを導入する4つのメリット

デジタル化・AI導入補助金を活用して受発注システムを導入するメリットは、主に以下の4つです。
- 導入コストを最大4/5まで削減できる
- 受発注業務の効率と正確性が向上する
- インボイス制度・電子帳簿保存法にスムーズに対応できる
- AI機能搭載ツールの導入で採択率アップが期待できる
それぞれ解説していきます。
1. 導入コストを最大4/5まで削減できる
受発注システムの導入には初期費用や月額利用料がかかりますが、デジタル化・AI導入補助金を利用することで費用負担を大きく軽減できます。インボイス枠(インボイス対応類型)では、50万円以下の部分に限り小規模事業者の補助率が最大4/5に設定されています(50万円超の部分は2/3以内)。
導入費が100万円の場合、小規模事業者の補助額は約66.7万円、自己負担は実質約33万円程度の計算です。資金に余裕のない中小企業でも、補助金をうまく活用すれば導入を現実的に検討できるでしょう。
2. 受発注業務の効率と正確性が向上する
受発注システムを導入することで、注文書・納品書の作成、在庫確認、入金管理などの業務を自動化できます。人為的ミスを防ぎ、作業時間を大幅に短縮することで担当者の負担が軽減されます。
リアルタイムで取引状況を確認できるため、顧客対応のスピード向上にもつながるでしょう。ペーパーレス化により印刷・郵送コストが削減でき、生産性向上と経費削減を同時に実現できる点も見逃せません。
3. インボイス制度・電子帳簿保存法にスムーズに対応できる
受発注システムを導入すれば、請求書や取引記録の電子保存が容易になり、法令順守と業務効率化を両立できます。適格請求書の自動発行や取引データの検索・保存機能が標準搭載されたツールを選べば、制度対応の工数を最小限に抑えられます。
こうした制度対応を補助金で支援してもらえる点は、中小企業にとって大きなメリットです。
4. AI機能搭載ツールの導入で採択率アップが期待できる
2026年度のデジタル化・AI導入補助金では、AI機能を有するITツールが審査で明確に評価される仕組みが導入されました。需要予測AI・発注の自動最適化・異常検知などのAI機能を搭載した受発注システムが増えており、AI搭載ツールの導入が加点対象として位置づけられています。
費用対効果の高いAI搭載ツールを選定することで、補助金の採択率を高めつつ、業務のさらなる効率化を見込めるでしょう。
受発注システムの費用相場と補助金活用シミュレーション

「受発注システムの導入にいくらかかるのか」は、補助金を検討する前にまず押さえておきたいポイントです。ここではパッケージ型・クラウド型それぞれの費用目安と、補助金を活用した場合の実質負担をシミュレーションします。
1. パッケージ型・クラウド型の導入費用目安
受発注システムの導入費用は、導入形態や機能の範囲によって大きく異なります。以下は一般的な費用感の目安です。
| 導入形態 | 初期費用 | 月額費用 | 特徴 |
| クラウド型(SaaS) | 0円〜50万円 | 月額1万円〜10万円 | 低コストで導入可能。カスタマイズ性は限定的 |
| パッケージ型 | 50万円〜300万円 | 保守費用として月額数万円 | 機能が豊富。自社業務に合わせやすい |
| フルスクラッチ(独自開発) | 300万円〜1,000万円以上 | 保守・運用費 | 完全オーダーメイド。開発期間が長い |
クラウド型は初期投資を抑えやすく、IT導入補助金のクラウド利用料補助(最大2年分)とも親和性が高いため、中小企業には特に人気があります。
2. 補助金活用後の実質負担シミュレーション
補助金を活用すると、実質の自己負担額がどのくらい下がるかをシミュレーションしてみましょう。
| ケース | 導入費用 | 利用する枠 | 補助率 | 補助額 | 自己負担額 |
| クラウド型(中小企業) | 90万円 | 通常枠 | 1/2 | 45万円 | 45万円 |
| クラウド型(小規模事業者) | 90万円 | インボイス対応類型 | 4/5(50万円以下)・2/3(50万円超) | 約66.7万円 | 約23.3万円 |
| パッケージ型(中小企業) | 200万円 | 通常枠 | 1/2 | 100万円(※1) | 100万円 |
| 独自開発(中小企業) | 500万円 | 省力化投資補助金 | 1/2 | 250万円(※2) | 250万円 |
※1 通常枠の補助上限は導入するITツールのプロセス数により異なります。4プロセス以上の場合は上限450万円、3プロセス以下の場合は上限150万円となるため、申請前に対象ツールのプロセス数を確認してください。
※2 省力化投資補助金の補助上限は従業員規模によって異なります(例:従業員5人以下は上限200万円、6〜20人は上限500万円)。500万円の投資に対して250万円の補助を受けるには一定以上の従業員規模が必要です。申請前に必ず公募要領をご確認ください。
小規模事業者がインボイス対応類型を利用した場合、90万円の受発注システムの補助額は約66.7万円、実質負担は約23.3万円となります。ただし補助率や補助額は枠・事業者規模・賃上げ要件の達成状況によって変動するため、申請前に必ず公募要領を確認してください。
「自社に最適な補助枠がどれか分からない」「シミュレーションを正確にしたい」という方は、認定経営革新等支援機関の株式会社イチドキリへお気軽にご相談ください。着手金0円・完全成功報酬でサポートいたします。
補助金申請の流れ6ステップと手続きのポイント

補助金を確実に受け取るには、正しい手順と必要書類を理解しておくことが大切です。申請から交付までの流れを6ステップで解説します。
- IT導入支援事業者・ITツールの選定
- gBizIDプライムの取得と事前準備
- 交付申請の手順
- ITツールの導入・契約・支払い
- 事業実績報告・補助金交付までの流れ
- 事業実施効果報告
それぞれ解説していきます。
1. IT導入支援事業者・ITツールの選定
はじめに事務局へ登録されたIT導入支援事業者を選定します。自社の業務要件と補助対象区分に適合する受発注システムが「登録ITツール」であるかを確認しましょう。
要件適合・見積の妥当性・導入後の運用支援体制・セキュリティ水準・費用対効果の観点で比較検討することが重要です。採択後の変更は制約があるため、要件定義の精緻化が欠かせません。
2. gBizIDプライムの取得と事前準備
gBizIDプライムとは、1つのIDで複数の行政サービスにログインできる共通認証システムです。交付申請や電子申請に必須で、発行には審査期間が2〜3週間かかるため早期取得を推奨します。
法人番号・登記事項・直近の決算書・納税証明・見積書などの基本資料も整えましょう。賃上げ計画・SECURITY ACTION宣言・インボイス対応状況の説明資料も準備すると審査で有利になります。
3. 交付申請の手順
交付申請では事業計画書、事業費内訳、ツール構成、導入スケジュール、KPIを具体化します。省力化や生産性の算定根拠、インボイス・電子帳簿保存法対応の改善点、投資効率などを定量で示すことが採択のポイントです。
相見積の取得や業者選定理由の記載整合、対象経費の区分明確化、補助対象外費目の除外が必須となります。申請後の照会に備え、根拠資料の出典と算式を台帳化しておきましょう。
「事業計画書の書き方が分からない」「交付申請を専門家に任せたい」とお考えの方は、株式会社イチドキリが無料でご相談をお受けします。エンジニア出身のスタッフが、技術面の計画書も含めて伴走支援いたします。
補助金採択率を高めるコツについては、「補助金採択率を上げる!申請のコツと成功事例を徹底解説」で詳しく解説しています。
4. ITツールの導入・契約・支払い
採択・交付決定後に契約と実施を進めます。補助対象期間内の契約締結と納品・検収・支払いが原則です。
発注書・請書・契約書・納品書・検収書・請求書・振込記録のひも付けを統一し、分割納品やサブスク料金は期間按分の根拠を明示しましょう。仕様変更は事前承認が必要な場合があるため、事務局手続を併行してください。
5. 事業実績報告・補助金交付までの流れ
導入完了後は実績報告を提出します。対象経費の証憑一式・契約関係・稼働確認・スクリーンショット等で導入実態を示すことが重要です。
KPIの初期値と導入後の効果見込みを整合させ、写真・画面・操作ログなど客観資料で補強しましょう。不備があると差戻しや交付遅延の要因となるため、審査完了後の補助金交付時期を見込んで資金繰りを計画化することが大切です。
6. 事業実施効果報告
交付後の一定期間に効果報告を行います。受注処理時間の短縮率・転記ミスの削減件数・電子取引保存率・在庫回転の改善などを定量で提示しましょう。
算出方法は申請時KPIと一致させ、データ抽出条件と期間を明記します。継続利用の体制・運用マニュアル・教育実施履歴・ライセンス更新状況も添付すると評価が安定します。次回申請の加点材料にもなるため、効果報告は丁寧に取り組むことをおすすめします。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公式HP https://it-shien.smrj.go.jp/
補助金対象となる3つの主な経費
補助金の対象となる経費は、システム導入に直接関係する費用が中心です。以下の3項目は多くの補助金で共通して対象とされています。
- システム導入費(初期設定・データ移行・研修等)
- クラウド利用料・ライセンス費用
- ハードウェア・周辺機器費
それぞれ解説していきます。
1. システム導入費(初期設定・データ移行・研修等)
受発注システム本体の導入費、初期設定、マスタ整備、ワークフロー設計、データ移行、操作研修などが中心です。要件定義書や作業内訳書で作業範囲を明文化し、対象外のコンサル費や保守契約のうち非対象部分は分離計上します。
改修やAPI連携は成果物定義と検収条件を明記し、後日の監査でも妥当性を示せるよう証跡管理を徹底しましょう。
2. クラウド利用料・ライセンス費用
クラウド型の場合はサブスクリプション料金が対象となる類型があります。補助対象期間内の月額利用料・ユーザーライセンス・追加ストレージ・保守サポートなどを期間按分で整理してください。
年額契約は対象期間分を証明できる請求・支払記録が必要です。課金明細・ユーザー数・プラン種別を証憑と一致させ、対象枠の要件(インボイス対応や電子取引類型等)に合致させましょう。
3. ハードウェア・周辺機器費
インボイス枠(インボイス対応類型)ではPC・タブレット・スキャナー・レジ等のハードウェアも対象となります。ただし、ハードウェアのみの申請はできず、ソフトウェアとセットでの導入が前提です。
受発注業務に直接資することを説明できる選定理由を用意し、機器の型番・数量・設置場所・資産管理台帳を整備します。既存設備の単なる更新は対象外となり得るため、効果や必然性を明確化してください。
受発注システム×補助金の導入事例2選
受発注システムの導入に補助金を活用した事例を2つ紹介します。自社に近い状況をイメージしながら参考にしてみてください。
- 製造業A社:クラウド受発注で月20時間の工数削減
- 卸売業B社:インボイス枠活用で実質負担を1/4以下に
それぞれ解説していきます。
1. 製造業A社:クラウド受発注で月20時間の工数削減
従業員30名の製造業A社では、取引先50社との受発注をFAXとExcelで管理していました。毎日の転記作業に担当者2名が計4時間を費やし、月1〜2件の発注ミスが発生している状況でした。
デジタル化・AI導入補助金の通常枠を活用し、クラウド型BtoB受発注システムを導入。導入費用120万円に対して補助率1/2で60万円が補助され、実質60万円で導入できました。
導入後は受注データの自動取り込みにより転記作業がゼロになり、月あたり約20時間の工数削減を達成。発注ミスもほぼ解消され、取引先からの信頼度も向上しています。
2. 卸売業B社:インボイス枠活用で実質負担を1/4以下に
従業員5名の卸売業B社は、インボイス制度への対応が急務でした。手書きの請求書を毎月200枚以上発行しており、適格請求書への切り替えに大きな不安を感じていたところです。
デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠(インボイス対応類型)を活用し、受発注・請求一体型のクラウドシステムとタブレット2台を導入。小規模事業者への補助率は50万円以下の部分に4/5、50万円超の部分に2/3が適用され、導入費用90万円のうち約66.7万円が補助されました。実質負担は約23.3万円と、導入費用の約1/4以下で制度対応と業務効率化を同時に実現した事例です。
「自社でも補助金を使って受発注システムを導入したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。株式会社イチドキリが、制度選定から書類作成・実績報告まで一貫して伴走します。
補助金を活用する際の5つの注意点

補助金の採択率と交付の確実性を高めるには、事前に押さえておくべき注意点があります。特に見落としやすい5つのポイントを解説します。
- 申請期間・締切を逃さない
- 登録ITツール以外は対象外
- 交付決定前の発注は補助対象外(フライング注意)
- 書類不備・報告漏れによる不交付リスク
- 2回目以降の申請は返還リスクに注意(2026年新要件)
それぞれ解説していきます。
1. 申請期間・締切を逃さない
2026年度のデジタル化・AI導入補助金は1次締切が2026年5月12日17時です。締切直前は申請サイトのアクセス集中で遅延が生じやすいため、余裕をもって提出しましょう。
社内承認・押印・証憑収集・SMS認証など所要時間の見込み違いが遅延の主因です。作業逆算のガントチャートとチェックリストを作成し、計画的に進めることをおすすめします。
2. 登録ITツール以外は対象外
デジタル化・AI導入補助金では、事務局に登録されたITツールのみが補助対象です。どんなに優れた受発注システムでも、登録ITツールでなければ申請できません。
対象枠ごとの要件・補助率・対象期間・賃上げ要件などを事前に確認してください。提案書・見積・構成表が一貫しているかを精査し、対象外費目は別会計で管理します。
3. 交付決定前の発注は補助対象外(フライング注意)
採択通知が届いたとしても、交付決定通知を受け取る前に契約や発注をしてしまうと、補助金の対象外(いわゆる「フライング」)となります。「早く導入したい」という気持ちは理解できますが、交付決定日の確認は絶対に怠らないでください。
特に年度末や公募締切直後はスケジュールがタイトになるため、事務局からの通知をこまめに確認しながら進めることが重要です。
4. 書類不備・報告漏れによる不交付リスク
社名表記揺れ・印影不備・金額差異・証憑不足・期間外支払い・検収不備・スクリーンショットの不足などが差戻しの原因です。台帳で証憑番号と伝票を紐付け、監査対応用にフォルダ構成を統一しましょう。
変更が発生した場合は事前手続きを実施し、導入後は効果指標の取得方法を統一します。内部監査の予行演習を行い、報告漏れをゼロにする体制を整えることが大切です。
5. 2回目以降の申請は返還リスクに注意(2026年新要件)
2026年度の大きな変更点として、過去にIT導入補助金(2022年〜2025年)で採択歴がある事業者には追加要件が課されるようになりました。
具体的には、3年間の事業計画(給与支給総額の増加目標を含む)を策定・提出し、導入後の効果報告が義務化されます。要件未達や効果報告未提出の場合は補助金の全部または一部を返還しなければなりません。
初めて申請する事業者にはこの要件は適用されませんが、2回目以降の申請を考えている場合は事業計画の実現可能性を慎重に検討してから申請してください。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 概要について https://it-shien.smrj.go.jp/news/40013
受発注システム×補助金でよくある質問(Q&A)4選
受発注システムの導入と補助金活用について、よくある質問を4つ取り上げます。
Q1. 個人事業主でも申請できますか?
はい、個人事業主もデジタル化・AI導入補助金の申請対象です。中小企業・小規模事業者の定義に該当すれば業種を問わず申請できます。
個人事業主の場合、小規模事業者として補助率が優遇される(最大4/5)ケースもあるため、積極的に活用を検討する価値があります。ただし、確定申告書や開業届など、法人とは異なる書類が必要になる点にはご注意ください。
Q2. 過去にIT導入補助金を利用していても再申請できますか?
通常枠については再申請が可能です。ただし、IT導入補助金2022〜2025のいずれかの通常枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12カ月以内は同じ通常枠で申請できない制限があります。
また、以下の枠で採択歴がある事業者は、2026年度のインボイス枠(インボイス対応類型)は対象外となる点に注意が必要です。
- IT導入補助金2022・2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
- IT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
- IT導入補助金2024・2025のインボイス枠
過去の採択履歴は審査で減点対象にもなるため、補助枠の選定は慎重に行いましょう。
Q3. クラウド型とオンプレミス型、どちらが補助金に向いていますか?
デジタル化・AI導入補助金の場合、クラウド型が補助金との相性が良いです。クラウド利用料が最大2年分補助対象になるほか、導入が比較的短期間で完了するため、補助対象期間内の納品・検収がスムーズに進みます。
オンプレミス型(自社サーバーに設置するタイプ)は独自開発に近い形態になることが多いため、省力化投資補助金やものづくり補助金のほうが適しているケースもあります。
Q4. 独自開発とパッケージ導入、どちらが補助金を使いやすいですか?
手軽さではパッケージ(登録ITツール)導入×デジタル化・AI導入補助金の組み合わせが圧倒的に使いやすいです。申請手続きがシンプルで、IT導入支援事業者のサポートも受けられます。
独自開発の場合はデジタル化・AI導入補助金の対象外となるため、省力化投資補助金やものづくり補助金を検討してください。補助額の上限が高い反面、事業計画の審査が厳しくなる点はトレードオフです。どちらの道が自社に合うか判断に迷ったら、認定支援機関に相談することをおすすめします。
まとめ:受発注システム導入は2026年の補助金制度がチャンス
受発注システムの導入は、業務効率化・法対応・コスト削減のすべてに貢献する重要な取り組みです。2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」へと制度がリニューアルされ、AI活用やDX推進を目指す企業にとって、補助率・補助額ともに手厚い支援が受けられる環境が整っています。
特に初めて補助金を申請する中小企業・小規模事業者にとっては、インボイス枠で最大4/5の補助率が適用される点は見逃せません。一方で、2回目以降の申請には事業計画の策定義務や返還リスクなどの新要件が加わっているため、制度の最新情報を正確に把握したうえで申請に臨むことが大切です。
株式会社イチドキリは、経済産業省(中小企業庁)認定の経営革新等支援機関として、着手金0円・完全成功報酬で補助金申請をサポートしています。エンジニア出身の専門スタッフが、受発注システムの選定から事業計画の策定・申請書類の作成・実績報告まで一貫して伴走いたします。
「どの補助金が自社に合うか分からない」「申請の手続きに不安がある」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※1 出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公式HPhttps://it-shien.smrj.go.jp/
※2 出典:経済産業省 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」 https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/ithojo/
記事の執筆者
株式会社イチドキリ 代表取締役
徳永 崇志
兵庫県西脇市出身。岡山大学教育学部出身。大手システムインテグレーターでエンジニアとしてのキャリアをスタートし、その後、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に携わる。株式会社レアジョブではAIを用いた新規事業の立ち上げに従事し、リリース1年で国内受験者数No.1のテストに導く。株式会社素材図書で副社長兼執行役員を務め、事業再構築補助金を活用した新規事業開発・立ち上げを担当。その後株式会社イチドキリを設立。現在は経済産業省(中小企業庁)認定の経営革新等支援機関として、システム開発に特化した補助金コンサルティング事業を運営。 2016年に「基本情報技術者試験」合格、2024年にGoogle認定資格「Google AI Essentials」、厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」取得。
