この記事でわかること
- 省力化投資補助金〈一般型〉の制度概要とカタログ型・ものづくり補助金との違い
- IT・システム開発案件で採択率を高める事業計画の書き方
- 補助額・自己負担額を3秒で算定するシミュレーター
1. 省力化投資補助金〈一般型〉とは?
- 正式名称:中小企業等省力化投資補助事業(一般型)
- 目的:人手不足を補う省人化・自動化投資による 労働生産性向上
- 補助額:50万円〜最大1億円
- 補助率:原則1/2(小規模・再生事業者は2/3)※補助額1,500万円超部分は1/3
1‑1 制度創設の背景(2023年度補正予算)
令和5年度(2023年度)補正予算で創設され、2024年に最初の公募が実施されました。政府のGX・DX政策パッケージの一環として、人手不足を解消する省人化投資を促進することが主目的です。これにより、従来のカタログ型(汎用品)ではカバーできなかった独自開発システム・ロボット導入が補助対象となりました。
2. 他制度との違い(比較表)
| 制度 | 目的 | 補助上限 | 補助率 | 導入スピード | 独自開発可否 |
|---|---|---|---|---|---|
| 省力化投資補助金〈一般型〉 | 省人化・自動化 | 1億円 | 1/2 | ★★☆ | ◎ 可 |
| 省力化投資補助金〈カタログ型〉 | 汎用品導入 | 1500万円 | 1/2・2/3 | ★★★ | × 不可 |
| ものづくり補助金 | 高付加価値製品開発 | 7500万円 | 1/2〜2/3 | ★★☆ | ◎ 可 |
| IT導入補助金 | 業務IT化 | 450万円 | 1/2 | ★★★ | △ SaaSのみ |
3. 対象者チェックリスト(3秒診断)
| ✅ 項目 | YES / NO |
|---|---|
| 日本国内の中小企業・小規模事業者である | |
| 直近 2 期の給与支給総額が減少していない | |
| 投資後の省力化指数が10%以上向上する | |
| 賃上げ表明を社内掲示している | |
| GビズIDプライムを取得済み |
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4. 2025年スケジュール
| 公募回 | 申請受付開始 | 申請締切 | 採択発表 | 交付決定 |
|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 2025/01/30 | 2025/03/31 | 2025/06中旬(予定) | 2025/07上旬(予定) |
| 第2回 | 2025/04/25 | 2025/05/30 | 2025/08下旬(予定) | 2025/09中旬(予定) |
※公募回は年3〜4回を予定。最新情報は事務局公式サイトで確認してください。
5. 省力化指数の計算方法
省力化指数 = (導入前作業時間 − 導入後作業時間) ÷ 導入前作業時間 × 100
- 業務プロセスを30分単位で分解
- RPA・AIチャットボットなどで削減見込時間を算定
- 上記の数式に入れて計算
6. 採択率を押し上げる7つのキーファクター
ポイントだけ速攻で知りたい方へ
- 基本要件フルコンプ – 労働生産性4%↑・賃金目標クリア
- 技術面の“数値4兄弟” – 省力化指数/投資回収期間/付加価値額/オーダーメイド性
- 計画面は“数字 × スケジュール”で実証
- 5大加点(事業承継/BCP/マッチング登録/えるぼし/くるみん)を拾う
- 初回・早期ラウンドで出す
- 書類の“抜けモレゼロ&証拠主義”
6‑1. まずは 「基本要件100%充足」 が前提
- 労働生産性:3~5年計画で年平均4.0%以上アップを達成する数値計画を提出。
- 賃金要件:①1人当たり給与総額 or ②給与総額そのものを、都道府県最低賃金の5年平均成長率以上で伸ばす計画を策定・社内表明。
- 注意:直近2期(決算2期)の給与総額が減少している企業は、計画値を盛っても達成見込みを疑われるので要補足説明。
6‑2. 技術面の4つの評価指標
審査委員は「数字で語れ」を徹底的に見る。
| 指標 | ねらい | 強い書き方のコツ |
|---|---|---|
| 省力化指数 | 人手作業をどれだけ短縮できるか | before/after工程表+日次・年次削減時間を1行で示す |
| 投資回収期間 | 補助金込みで◯年◯か月で黒字化 | 目安3年以内に収めると加点印象 |
| 付加価値額 | 付加価値=営業利益+人件費+減価償却費の伸び | 削減リソースの再投資で売上増を必ずセットで算定 |
| オーダーメイド性 | 汎用品<設備カスタムは評価大 | 設備仕様書に「自社課題に対する一品一様設計」文言を |
6‑3. 計画面――スケジュールと数字を“縦横に”そろえる
- WBS+ガントチャートで「いつ導入→いつ効果→いつ報告」を月単位で。
- B/S・P/Lシミュレーション:付加価値・労働生産性・賃上げの推移を同じ基準年で合わせると整合性◎。
- リスク対策:保険加入・サプライヤー分散などを一行で触れると技術面の信頼度アップ。
6‑4. 5大“おまけ加点”を拾う
| 加点 | エビデンス | ひと言メモ |
|---|---|---|
| ① 事業承継/M&A | 株式譲渡契約書等 | 過去3年以内 |
| ② BCP(事業継続力強化計画) | 経済産業大臣認定書 | “災害等加点” |
| ③ 成長加速マッチング登録 | mirasapo‑connectで課題登録 | 締切時点で要完了 |
| ④ えるぼし認定 | 厚労省認定通知 | 女性活躍 |
| ⑤ くるみん認定 | 厚労省認定通知 | 子育て支援 |
6‑5. “初回・早期”ラウンドで出す
- 予算が潤沢なうちの応募は競争率が低く、採択率が相対的に高い。
- gBizIDプライムの取得だけで2~3週間かかるため準備の前倒しが吉。
6‑6. 書類は“証拠主義”で穴を塞ぐ
- 見積は同一仕様で2社以上(海外調達含む)を添付。
- 決算書・納税証明書・履歴事項全部証明書は発行3か月以内。
- 申請システム入力値=提出PDFの数値を突き合わせ、コピペミス防止チェックリストを付けると安心。
7. IT・システム開発企業の成功事例
事例① SaaS再設計でカスタマーサポート工数25%削減
| 項目 | before | after |
|---|---|---|
| 月間サポート時間 | 480h | 360h |
| クレーム率(%) | 4.2 | 2.1 |
| NPS®(推奨度得点) | 12 | 25 |
| 投資額 | 8,000万円 | — |
| 補助額 | — | 4,000万円 |
ROI:1.8年で投資回収(クレーム率半減・NPS向上で顧客満足も改善)
事例② 受託開発会社の社内RPA構築
- 投資額:2,400万円 → 補助額1,200万円
- 見積書作成工数60%削減、外注費▲300万円/年
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 赤字決算でも申請できますか?
A. 申請自体は可能ですが、債務超過や資金ショートがあると審査で減点されやすくなります。金融機関の同意書や改善計画を添付するとプラス評価につながります。
Q2. 交付決定前に設備を発注しても良いですか?
A. 不可です。交付決定通知より前に契約・支出した経費はすべて補助対象外になります。契約書の日付にも要注意です。
Q3. 対象外となる経費は何ですか?
A. 汎用PC・タブレット、車両、不動産、消耗品、補助事業終了後1年以内に消耗する物品などは対象外です。詳細は公募要領の「補助対象外経費一覧」を参照してください。
Q4. 他の補助金と併用できますか?
A. 同一経費の重複受給は不可です。ただし、フェーズや経費項目を分ければ併用は可能です(例:研究開発費はものづくり補助金、設備費は省力化投資補助金)。
Q5. 申請書作成を外部委託した費用は補助対象になりますか?
A. なりません。コンサル報酬や行政書士費用は補助対象外経費です。多くの企業では成功報酬型で、実績報告後に支払う形を採用しています。
9. まとめ & 資料ダウンロード
- 一般型は独自システム開発も対象、上限1億円
- 省力化指数+賃上げ計画が採択の必須条件
- 図解・計算例ガイドで最短申請
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参考資料
•中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の事前準備について
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記事の執筆者
株式会社イチドキリ 代表取締役
徳永 崇志
兵庫県の実家で、競走馬関連事業を展開する中小企業を営む家庭環境で育つ。
岡山大学を卒業後、大手SIerでエンジニアを経験し、その後株式会社リクルート法人営業に携わる。株式会社レアジョブではAIを用いた新規事業の立ち上げに従事し、リリース1年で国内受験者数No.1のテストに導く。株式会社素材図書で役員を務めた後、株式会社イチドキリを設立。中小企業向けに、補助金獲得サポートや新規事業開発や経営企画のサポートをしている。Google認定資格「Google AI Essentials」を2024年に取得済。