「IoTを導入して業務効率化を図りたいけど、費用が高くて…」
中小企業の経営者や担当者の方々、そうお考えではありませんか?IoT(モノのインターネット)は、生産性向上、コスト削減、新たなビジネスチャンスの創出など、様々な可能性を秘めています。しかし、導入費用がネックとなり、導入を諦めてしまう企業も少なくありません。
そこで、本記事では、IoT導入にかかる費用を抑え、企業の成長を力強く後押しする「IoT補助金」について、2025年最新情報をお届けします。補助金の種類、申請方法、成功事例を分かりやすく解説し、あなたのIoT導入を全面的にサポートします。
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IoT導入に役立つ!補助金とは?

補助金とは、国や自治体が企業の取り組みを支援するために交付する返済不要の資金のことです。設備導入や業務改善など、事業の成長につながる投資を後押しする目的で提供されています。
特にIoT導入は、業務効率化、コスト削減、生産性向上など、多くのメリットをもたらす可能性を秘めています。しかし、その一方で、初期導入費用が高額になることが、多くの中小企業にとって大きな懸念材料となっています。このような経済的なハードルを乗り越え、IoT導入を現実的なものにするために、国や自治体が提供する補助金制度は非常に有効な手段となります。
なぜIoT導入に補助金が有効なのか?
IoTシステムの導入には、センサーデバイス、ネットワーク機器、ソフトウェア、そしてそれらを連携させるためのシステム開発など、多岐にわたる費用が発生します。特に、最新技術の導入やカスタマイズが必要な場合、そのコストはさらに膨らむ傾向にあります。
補助金制度は、これらの初期投資の一部または大部分を国や自治体が負担してくれるため、企業は自己資金の負担を大幅に軽減することができます。これにより、これまで予算的に難しかったIoT導入が、より身近なものとなり、中小企業でも最新技術を活用して競争力を高めることが可能になります。
補助金を利用するメリット
補助金の活用は、単に導入費用を抑える経済的な効果にとどまらず、多面的なメリットをもたらします。まず、自己資金の負担を軽減しながら高額なIoTシステムを導入できるため、キャッシュフローへの影響を最小限に抑えて必要な投資を実現できます。
さらに、補助金の対象となるのは多くの場合最新技術であり、企業は自社だけでは導入が難しい先端的なIoT技術に容易にアクセスでき、技術革新の流れに乗ることが可能です。その結果、業務効率化やコスト削減、生産性向上が進み、企業の競争力を高めて市場での優位性を確立することができます。
また、IoTの導入は新たなデータ活用型のサービスやビジネスモデルの創出を促し、補助金はこうしたイノベーションへの挑戦を後押しします。加えて、IoTはデジタルトランスフォーメーション(DX)の中核技術でもあり、補助金は企業がDXを推進し、デジタル化による経営基盤の強化を進めるための重要な支援となります。
IoTの導入に使える主な補助金はIT導入補助金
IT導入補助金は中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的とした補助金制度です。事務局に登録されたIT導入支援事業者とパートナーを組み、あらかじめ審査を受けたITツールを導入することで、ソフトウェア費用やクラウド利用料、サポート費用などの一部について補助を受けられます。
IoT向けの在庫管理システムや遠隔制御システムも登録されているため、自社の業務課題に合わせたツールを選びやすい点が魅力といえます。申請できる枠も複数用意されています。業務全体のデジタル化を進める通常枠、インボイス制度に対応した会計ソフトや受発注システムなどに使えるインボイス枠、サイバー攻撃対策を支援するセキュリティ対策推進枠、複数社で地域DXに取り組む複数社連携IT導入枠などが代表的な例です。
IoT導入と同時に会計処理や受発注も見直したい場合など、自社の計画に合う枠を選ぶことが重要になります。
IoTを独自開発する際に使える補助金
IoTを既製品だけでなく自社仕様で開発したい企業も多くみられます。工場のラインに合わせた独自のセンサー連携や、自社サービスと連動したアプリ開発などは、既存ツールでは対応しきれない場面も少なくありません。そのような場合には、設備投資やシステム開発、専門家への依頼費用なども対象となる補助金を選ぶことが重要です。ここではIoTの独自開発と相性がよい代表的な2つの補助金を紹介します。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)は、ポストコロナなど経営環境の変化を踏まえ、既存事業の「深化」や「発展」に取り組む中小企業を支援する制度です。高性能な機器導入による競争力強化や、IoTを活用した品質向上、省エネ設備による生産性向上、新しいサービス提供方法の開発などが取組例として挙げられます。
既存事業をベースにIoTを導入し、事業の付加価値や生産性を高めたい企業に向いた補助金といえます。本事業では、原材料費や機械装置費、システム導入費、専門家指導費、販売促進費など幅広い経費が対象になります。
助成限度額は800万円で、通常は対象経費の3分の2以内、小規模事業者で賃上げ計画を実行する場合は5分の4以内が助成率の目安です。公募は複数回に分けて行われているため、自社の投資計画とスケジュールを照らし合わせながら、余裕を持って準備を進めることが大切になります。
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中小企業省力化投資補助金(一般型)
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に悩む中小企業がIoTやロボットなど省力化に効果のあるデジタル技術を導入する際に利用できる補助金です。工場の自動搬送システムや画像認識による検品装置、センサーを組み込んだ在庫管理システムなど、現場の作業時間を減らす設備投資が対象になります。
人手不足を解消しながら付加価値額や生産性を高め、将来的な賃上げにつなげていくことを目的とした制度といえます。補助上限額は従業員数に応じて段階的に設定されており、5人以下で最大750万円、101人以上で最大8000万円といった区分があります。
補助率は中小企業で原則2分の1、小規模事業者や再生事業者では3分の2が上限で、一定条件を満たせば大幅賃上げ特例や最低賃金引上げ特例により上限額や補助率が優遇される場合があります。3〜5年の事業計画期間内に労働生産性の向上や賃金引上げを実現することが求められるため、IoT導入による省力化効果や投資回収の根拠を丁寧に示した計画づくりが重要になります。
関連記事:【2025年度版】中小企業省力化投資補助金〈一般型〉完全ガイド
補助金申請のステップ

補助金申請は、初めての方には複雑で難解に感じられるかもしれませんが、一つ一つのステップを丁寧に進めることで、着実に目標を達成できます。ここでは、IoT導入の補助金申請を成功させるための具体的なステップを、準備段階から申請、そして交付までの流れに沿って分かりやすく解説します。専門知識がない方でも安心して進められるよう、各段階でのポイントや注意点も詳しく説明していきます。
申請前に準備すること
補助金申請を始める前に、いくつかの重要な準備が必要です。
補助金制度の選定
まず、自社のIoT導入計画に最も適した補助金制度は何かを特定します。本記事で紹介する「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)」「IT導入補助金」「中小企業省力化投資補助金(一般型)」などを比較検討し、それぞれの公募要領を確認しましょう。対象となる事業、補助対象経費、補助率、申請期間などを照らし合わせ、自社の計画と合致するかを慎重に判断することが重要です。
事業計画の明確化
なぜIoTを導入したいのか、導入によってどのような課題が解決できるのか、具体的な目標(業務効率化〇%、コスト削減〇%など)は何か、導入後の事業への貢献度はどうなるのか、といった点を明確にした事業計画書を作成します。補助金審査では、この事業計画の実現可能性と妥当性が厳しく評価されます。
必要情報の収集
申請には、会社の基本情報(登記簿謄本、決算情報など)、IoT導入に関する見積書、導入計画の詳細、事業計画書など、様々な情報が必要となります。事前に収集・整理しておくことで、申請書作成がスムーズに進みます。
公募要領の熟読
各補助金制度には、詳細な公募要領があります。申請資格、申請方法、必要書類、審査基準、スケジュールなどが記載されているため、内容を隅々まで理解することが不可欠です。不明な点は、公募事務局に問い合わせることも検討しましょう。
これらの準備を丁寧に行うことが、申請成功への第一歩となります。
申請書の書き方
補助金申請書は、あなたの事業計画とIoT導入の必要性を審査員に的確に伝えるための重要なツールです。以下のポイントに注意して、説得力のある申請書を作成しましょう。
目的と期待効果の具体性
なぜIoTを導入する必要があるのか、その目的を明確に記述します。そして、導入によってどのような効果(例: 生産ラインの稼働率が15%向上、不良品率が10%削減、人件費が月額〇〇円削減など)が期待できるのかを、可能な限り数値を用いて具体的に示します。曖昧な表現ではなく、具体的なデータや根拠に基づいた記述を心がけましょう。
事業への貢献度
IoT導入が、自社の事業全体の成長や競争力強化にどのように貢献するのかを説明します。新規顧客獲得、市場シェア拡大、新たなサービス開発など、より大きな視点での貢献可能性を示すことが重要です。
実現可能性と計画性
IoT導入の計画が現実的であり、実行可能であることを示します。導入スケジュール、体制、必要なリソース(人員、資金など)について具体的に記述し、実現可能性の高さをアピールします。
分かりやすさと論理性
専門用語を多用せず、誰が読んでも理解できるように平易な言葉で記述します。文章全体の構成を論理的にし、一貫性を持たせることが大切です。図やグラフなどを活用して、視覚的に分かりやすくするのも効果的です。
テンプレートの活用
多くの補助金制度では、申請書のテンプレートが用意されています。テンプレートを最大限に活用し、必要な情報を漏れなく、かつ指定された形式で記入しましょう。不明な箇所があれば、過去の採択事例などを参考にしたり、専門家のアドバイスを求めたりすることも有効です。
申請の流れ
補助金の申請は、一般的に以下の流れで進みます。
- 公募開始・情報収集
- 申請書類の作成・準備
- 申請書類の提出
- 審査
- 採択通知
- 補助金の交付
各段階において、迅速かつ正確な対応が求められます。特に申請期間は限られていますので、計画的に進めることが重要です。
補助金申請の注意点

補助金申請は、手続きが複雑で、期日や必要書類など、見落としがちなポイントがいくつか存在します。これらの注意点を事前に理解し、丁寧に対処することで、申請プロセスをスムーズに進め、採択の可能性を高めることができます。ここでは、申請にあたって特に注意すべき点を解説します。
申請期間に注意
補助金の申請において、最も基本的ながら非常に重要なのが「申請期間」の確認です。各補助金には公募期間が定められており、この期間内に申請を完了させる必要があります。公募要領には、申請受付開始日と終了日が明記されていますので、必ず事前に確認し、カレンダーなどに記録しておきましょう。
締め切り間際に慌てて申請しようとすると、書類の不備や入力ミスが発生しやすくなります。余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが、落ち着いて申請を完了させるための鍵となります。また、申請期間外の申請は原則として受け付けられませんので、期間厳守を徹底してください。
申請書類の準備
補助金の申請には多くの書類が必要であり、それらを正確かつ漏れなく準備することが審査を通過するための重要なポイントとなります。まずは申請する補助金の公募要領を確認し、提出が求められる書類をすべて把握して整理することが出発点です。申請書には企業の基本情報や事業計画、補助金の具体的な使途などを正確に記入しなければなりません。
特に事業計画では、IoT導入によってどのような課題が解決され、どのような成果が期待できるのかを、具体的かつ説得力をもって示すことが求められます。また、見積書、決算書、会社案内、事業計画書などの添付書類も忘れずに準備する必要があります。IoT関連では、機器の見積書や導入後の効果を示す資料が審査で重視される傾向にあります。
不明点があれば、早めに補助金の問い合わせ窓口や専門家に相談することが望ましいでしょう。書類の不備や情報不足があると、審査で不利になるだけでなく申請そのものが却下される可能性もあるため、提出前には複数回確認を行い、内容の正確性と必要書類の完全性を確実にチェックすることが大切です。
専門家への相談
補助金申請やIoT導入計画の策定は、専門的な知識を要する場面が多くあります。自社だけで進めるのが難しいと感じる場合は、専門家への相談を検討することをおすすめします。
ITコンサルタントや補助金申請アドバイザーなどの専門家は、過去の申請データや最新の動向に基づいた的確なアドバイスを提供してくれます。
自社に最適な補助金制度の選定から、事業計画のブラッシュアップ、申請書類の作成支援まで、幅広いサポートを受けることができます。専門家の活用は、申請の成功率を高めるだけでなく、より効果的なIoT導入計画の実現にもつながります。補助金制度のウェブサイトや、商工会議所、自治体の支援窓口などで、相談先を探すことができます。
まとめ
IoT導入に活用できる補助金は、デジタル化や省力化を進めたい企業にとって大きな支えになります。IT導入補助金をはじめ、事業環境変化に対応した事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)や中小企業省力化投資補助金(一般型)など、目的に合わせて選べる制度が増えています。自社の課題に合わせた補助金を活用することで、費用負担を抑えながら効率化や品質向上を実現できる点が多くの企業に支持されています。
補助金の申請には制度理解と計画づくりが不可欠であり、実務の負担も大きくなりがちです。株式会社イチドキリは中小企業庁認定の経営革新等支援機関として、IT・AI領域を熟知したプロが着手金0円で申請をサポートします。
元エンジニアの代表を中心に、事業課題の整理から書類作成、資金計画まで一貫して伴走する体制を整えている点が強みです。提供メニューも幅広く、IoT導入に最適な補助金選定から採択までを確かな実績で支援します。補助金を活用したいと考える企業の力になれる存在です。ぜひお気軽にご相談ください。
記事の執筆者
株式会社イチドキリ 代表取締役
徳永 崇志
兵庫県の実家で、競走馬関連事業を展開する中小企業を営む家庭環境で育つ。
岡山大学を卒業後、大手SIerでエンジニアを経験し、その後株式会社リクルート法人営業に携わる。株式会社レアジョブではAIを用いた新規事業の立ち上げに従事し、リリース1年で国内受験者数No.1のテストに導く。株式会社素材図書で役員を務めた後、株式会社イチドキリを設立。中小企業向けに、補助金獲得サポートや新規事業開発や経営企画のサポートをしている。Google認定資格「Google AI Essentials」を2024年に取得済。
