「中小企業省力化投資補助金の対象になるかどうかわからない」と悩んでいる経営者の方は多いのではないでしょうか。
申請を検討しているのに、対象企業の要件や対象経費の範囲がわからなければ、準備も進められませんよね。
この記事では、対象企業・対象業種・対象経費・対象製品のすべてを一気に把握できるよう、実務的な視点で解説しています。
業種別の申請可否、従業員のカウント方法、対象外経費の理由まで踏み込んでいるので、自社の申請可否をスムーズに判断できます。(2026年4月時点の情報です。最新情報は公募要領をご確認ください)
- 中小企業省力化投資補助金とは
- 中小企業省力化投資補助金の対象企業
- 業種別の申請可否と注意点
- 補助金の対象となる経費
- 補助金の対象製品とカタログ登録
- 補助上限額と2026年3月19日の制度改定
- 申請から採択・交付までのスケジュール
- 中小企業省力化投資補助金の活用メリット
- 中小企業省力化投資補助金の業種別の活用事例
- 採択率と申請を成功させるポイント
- 補助金申請のことなら株式会社イチドキリへご相談ください
- 中小企業省力化投資補助金の対象についてよくある質問
- まとめ:中小企業省力化投資補助金の対象
中小企業省力化投資補助金とは

中小企業省力化投資補助金とは、中小企業や小規模事業者が抱える深刻な人手不足を解消し、生産性向上を促進することを目的とした国の補助制度です。
人材採用が難しくなっている時代に、省力化・自動化機器の導入コストを国が一部負担してくれる仕組みです。
補助事業の概要としては、省力化に資するロボット・センサー・POSシステムなどの機器やソフトウェアの導入費用を補助するもので、投資の目的は「機械化・デジタル化による業務効率向上」にあります。
2024年度にスタートした比較的新しい制度ですが、2026年3月19日に大幅な制度改定が行われ、補助上限額の引き上げや収益納付の廃止など、申請しやすい内容に刷新されました。
申請は「カタログ注文型」と「一般型」の2種類の類型から選びます。
自社の状況に合った類型を選ぶことが、採択への第一歩です。
2つの類型:カタログ注文型と一般型
カタログ注文型と一般型では、補助の仕組みや対象が異なります。
まず基本スペックを確認しておきましょう。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 受付方式 | 随時受付(常時申請可能) | 年3〜4回の公募制 |
| 対象製品 | 事務局登録済みのカタログ製品のみ | オーダーメイド含む省力化機器全般 |
| 業種合致要件 | あり(カタログ製品に紐付く対象業種と自社業種が一致する必要あり) | なし |
| 従業員0名 | 初回は申請できる場合あり(事務局に要確認) | 申請不可(応募時点で1名以上必要) |
| 補助率 | 1/2(小規模事業者・再生事業者は2/3) | 同左 |
| 補助上限 | 従業員規模に応じて500万〜1,500万円 | 従業員規模に応じて750万〜1億円(詳細は後述の補助上限額テーブル参照) |
カタログ注文型は「すでにカタログに登録されている製品を選ぶだけ」なので申請がシンプルです。
一般型はオーダーメイドの設備でも申請できる反面、事業計画書の作成が必要で、公募のタイミングに合わせた準備が求められます。
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出典:中小企業庁|中小企業省力化投資補助金 公式サイト
中小企業省力化投資補助金の対象企業

この補助金の対象企業の要件は「中小企業・小規模事業者等であること」と「人手不足の状態であること」が基本です。
対象事業者の範囲や従業員数の判定方法を正確に把握することが、申請の第一歩になります。
対象企業の条件は大きく4点あります。
①中小企業・小規模事業者等の定義に該当する、②人手不足の状態にある(従業員数に空きがある等)、③賃上げ要件を達成できる見込みがある、④対象外業種・対象外事業者に該当しない、の4点です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
中小企業・小規模事業者の定義
「中小企業者」と「小規模事業者」は、業種ごとに資本金・常時使用する従業員数の上限が定められています。
| 業種 | 中小企業者(資本金または従業員) | 小規模事業者(従業員) |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業等 | 資本金3億円以下 または 従業員300人以下 | 従業員20人以下 |
| 卸売業 | 資本金1億円以下 または 従業員100人以下 | 従業員5人以下 |
| サービス業 | 資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下 | 従業員5人以下 |
| 小売業 | 資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下 | 従業員5人以下 |
資本金または従業員数のどちらか一方が基準を満たしていれば「中小企業者」に該当します。
業種の分類は日本標準産業分類(総務省)に基づきますので、自社の業種コードを確認してから判定しましょう。
なお、大企業の子会社であっても、大企業が議決権の過半数を保有するいわゆる「みなし大企業」は対象外です。
グループ会社の資本構成もあわせて確認してください。
個人事業主・NPO法人・社会福祉法人も対象になるか
個人事業主も申請対象です。
上記の従業員数・資本金要件を満たせば、法人格の有無を問わず申請できます。
NPO法人・社会福祉法人については、補助事業の趣旨に合致する事業活動を行っており、上記の規模要件を満たす場合に対象となるケースがあります。
ただし、介護保険適用事業者や医療法人については後述のとおり原則対象外です。
対象になるケースとならないケースをまとめます。
| 事業者区分 | 対象可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 対象 | 規模要件を満たせば申請可能 |
| NPO法人 | 条件付き対象 | 補助事業趣旨に合致する活動を行っている場合 |
| 社会福祉法人 | 条件付き対象 | 介護保険給付外サービスの場合は申請できるケースあり |
| 医療法人 | 原則対象外 | 診療報酬との重複排除のため |
| 介護保険適用事業者 | 原則対象外 | 介護報酬との重複排除のため |
従業員数の正しいカウント方法
「常時使用する従業員」という概念が、補助上限額の区分を決めるうえで重要です。
雇用形態によってカウントするかどうかが異なるため、正確に把握しておきましょう。
| 雇用形態 | カウント可否 | 補足説明 |
|---|---|---|
| 代表者・役員 | カウントしない | 使用者側のため対象外 |
| 正社員(常勤) | カウントする | 基本的にすべて対象 |
| パートタイマー | 条件付き | 週30時間以上勤務が目安 |
| アルバイト | 条件付き | 週30時間以上勤務が目安 |
| 派遣社員 | カウントしない | 雇用関係が派遣元にあるため |
| 産休・育休中の社員 | カウントする | 雇用関係は継続しているため |
「常時使用する」とは、単発・季節雇用ではなく継続的・定常的に雇用されている状態を指します。
具体的には正社員はすべてカウント対象で、パート・アルバイトは週の所定労働時間が正社員の3/4以上(一般的には週30時間以上)が目安とされています。
不明な場合は事務局や認定支援機関に確認することをお勧めします。
対象外となる企業の条件
以下の条件に該当する事業者は申請できません。
- みなし大企業:大企業が議決権の1/2以上を保有する中小企業
- 反社会的勢力・暴力団関係者と関与のある事業者
- 他の補助金の交付決定を受けており、補助事業が未完了の事業者(対象補助金と重複する場合)
- 税金の滞納がある事業者
- 公序良俗に反する事業を行っている事業者
- 破産手続き・民事再生・会社更生等の法的手続き中の事業者
特に「他の補助金が未完了」という要件は見落としがちです。
ものづくり補助金やIT導入補助金の交付を受けている途中の場合は、その補助事業が完了するまで申請できないケースがあります。事前に確認しましょう。
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出典:中小企業庁|中小企業省力化投資補助金 公募要領
https://shoryokuka.smrj.go.jp/ippan/schedule
業種別の申請可否と注意点

「自社の業種は申請できるのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
この補助金には業種の要件があり、申請できない業種が存在します。
単に「できる・できない」を確認するだけでなく、なぜ対象外なのかを理解しておくことで、申請可否の境界線がはっきりします。
業種別の対象可否と、カタログ注文型特有の「業種合致要件」について解説します。
農業・漁業など1次産業は対象外
農業・漁業・林業などの1次産業は、原則として補助金の対象外です。
この補助金の制度趣旨は「製造業・サービス業・小売業などの労働集約型産業における人手不足の解消と省力化」にあります。
1次産業は別途、農林水産省や地方自治体による専用の補助スキームが用意されているため、省力化投資補助金の対象とはなっていません。
ただし、農業法人であっても農産物の加工・販売部門(食品加工業・小売業として分類される活動)については、申請できるケースがあります。
自社の業種コードが農業系か加工・販売系かを確認し、不明な場合は事務局に問い合わせることをお勧めします。
医療法人・介護保険適用事業者は対象外
医療法人と介護保険適用事業者は対象外です。
「なぜ対象外なのか」を知っておくと、境界線の理解が深まります。
医療法人が対象外とされる根拠は、診療報酬との重複排除です。
医療機関の経営は診療報酬によって支えられており、行政からの収入を二重に受けることを避けるため、省力化補助金の対象外とされています。
介護保険適用事業者についても同様で、介護報酬という公的な収入源がある事業者に対する二重支援を防ぐ目的があります。
ただし「介護保険給付外サービス」(自費サービス・混合介護の自費部分など)のみを行っている事業者であれば、申請できるケースがあります。介護事業者でも、自費サービス専業であれば対象になり得る点は覚えておきましょう。
なお、2026年3月の制度改定では対象業種の見直しも行われています。詳細は【速報】中小企業省力化投資補助金(一般型)第6回公募が開始|医療・介護業の申請が解禁【2026年最新】をご確認ください。
| 業種 | 対象可否 | コメント |
|---|---|---|
| 製造業 | ○ | 対象。省力化機器の主要導入業種 |
| 建設業 | ○ | 対象。人手不足の深刻な業種として積極的に支援 |
| 飲食業 | ○ | 対象。配膳ロボット・調理機器など導入事例多数 |
| 宿泊業 | ○ | 対象。清掃ロボット・自動チェックインシステムなど |
| 小売業 | ○ | 対象。POSシステム・自動精算機など |
| 農業・漁業(1次産業) | × | 対象外。別途農林水産省の補助スキームを活用 |
| 医療法人 | × | 対象外。診療報酬との重複排除 |
| 介護(保険適用事業者) | × | 原則対象外。保険給付外サービスのみ行う場合は要確認 |
カタログ注文型特有の「業種合致要件」の確認方法
カタログ注文型には「業種合致要件」があります。
カタログに登録されている各製品には「対象業種」が設定されており、自社の業種がその対象業種に合致していないと申請できません。
確認の手順は以下の通りです。
- 公式カタログサイト(mono-support.com)で導入したい製品を検索する
- 製品詳細ページに記載されている「対象業種」を確認する
- 自社の業種(日本標準産業分類コード)が一致するかを確認する
- 不明な場合は事務局または認定支援機関に確認する
日本標準産業分類は総務省のサイトで検索できます。
自社の業種分類コードを事前に把握しておくと、製品選定がスムーズになります。
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出典:中小企業省力化投資補助金 公式FAQ(一般型)
https://shoryokuka.smrj.go.jp/faq
補助金の対象となる経費

「どの費用が補助対象になるのか」は、申請前に必ず把握しておくべき重要事項です。
カタログ注文型と一般型では、対象経費の範囲が異なります。
対象経費を間違えると、補助を受けられない費用を計上してしまうリスクがあります。
それぞれの類型について確認しましょう。
カタログ注文型の対象経費
カタログ注文型で補助対象となる経費は以下の通りです。
- 製品本体費:カタログに登録されている省力化製品の購入費
- 設置費:製品を設置・設定するための費用(組み込み工事費を含む)
- 付帯工事費:製品設置に必要な付帯的な工事費用(電気工事・配管工事等)
- 導入設定費:ソフトウェアの初期設定・システム連携費用
- 取扱説明・研修費:製品の使用に関する研修・トレーニング費用(一部)
典型的な例として、協働ロボットの設置工事費や、POS端末の初期設定費用などが対象になります。
ただし、製品本体費以外の費用については比率の上限が設けられている場合があるため、公募要領で確認してください。
一般型の対象経費
一般型では、カタログ注文型より広範な経費が対象です。
- 機械装置費:省力化に資する機械・装置・ロボット・センサー等の購入費
- システム費:ソフトウェア・クラウドサービス・システム構築費
- 外注費:設備の設計・製作・設置等の外注費用
- 専門家経費:認定支援機関等の専門家への相談・指導費
- 技術導入費:知的財産権の使用料(ライセンス料等)
一般型の大きな特徴は、オーダーメイドで製作した省力化設備でも申請できる点です。
自社の業務プロセスに合わせた特注機器の導入であっても、省力化・生産性向上に直結するものであれば対象となります。
機器導入の選択肢をより広く検討したい方は、中小企業の設備投資に使える補助金10選!採択率を高める5つのコツも解説も参考になります。
| 経費区分 | カタログ注文型 | 一般型 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 製品本体・機械装置費 | ○ | ○ | 中心的な補助対象 |
| 設置費・付帯工事費 | ○ | ○ | 設置に必要な範囲で対象 |
| システム・ソフトウェア費 | ○(一部) | ○ | 一般型はより広い範囲で対象 |
| 外注費(設計・製作) | × | ○ | 一般型のみ対象 |
| 専門家経費 | × | ○ | 認定支援機関等への費用 |
| 汎用品(PC・スマホ等) | × | × | 両類型とも対象外 |
| 事務用消耗品・家具 | × | × | 省力化に直接関係しないため対象外 |
対象外となる経費とその理由
補助対象外となる代表的な経費と、その理由を押さえておきましょう。
要注意:交付決定前の発注・契約・購入はすべて補助対象外です。
採択されると思って先に発注してしまうと、その費用はどれだけ高額でも補助を受けられません。
必ず「交付決定通知書」を受け取った後に発注・契約を行ってください。
汎用品がNGとなる理由は「目的外使用の可能性があるから」です。
事務用PC・スマートフォン・タブレット・プリンタ・カメラ・デジタルサイネージ・家具・車両等は、省力化以外の目的でも使われる汎用品に該当するため対象外とされています。
その他の対象外経費:
– 土地・建物の購入費・賃借料
– 消耗品・原材料費
– 補助事業と直接関係のない費用
– 交付決定前に発注・契約した費用(最重要注意点)
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出典:中小企業省力化投資補助金 公募要領(第6回)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260313001.html
補助金の対象製品とカタログ登録

この補助金では「省力化・自動化に直接貢献する機器・システム・ソフトウェア」が対象製品です。
カタログ注文型では事務局が認定した登録製品のみが対象となり、一般型では省力化要件を満たせば幅広い製品が申請できます。
カタログに登録されている製品カテゴリ
2026年4月時点では、以下のカテゴリの製品がカタログ登録されています。
ロボット関連:
– 協働ロボット(人と同じスペースで作業できるロボットアーム)
– 搬送ロボット・自動搬送機器(AGV・AMR)
– 清掃ロボット(床面清掃・窓清掃等)
– 配膳ロボット・下膳ロボット(飲食・宿泊業向け)
– 介護補助ロボット(自費サービス対象の場合)
センサー・自動化システム:
– 人感センサー・見守りセンサー
– 在庫管理システム・自動発注システム
– 自動精算機・セルフレジ
– POSレジシステム
– タブレット型受付・注文システム
業種別の代表的な導入例:
飲食業→配膳ロボット・スチームコンベクションオーブン、宿泊業→清掃ロボット・自動チェックイン端末、製造業→協働ロボット・AGV、小売業→POSシステム・セルフレジ。
自社の業種に合った製品カテゴリをまず確認することが、製品選定の第一歩です。
一般型で対象となる省力化機器の条件
一般型で申請できる設備・機器の条件は「業務プロセスの省力化・効率化に直接貢献するもの」であることです。
具体的には以下の点を満たす必要があります。
- 省力化・自動化による業務効率の向上が見込まれること
- 製品・設備が事業活動に直接使用されるもの(転売目的は不可)
- 補助事業終了後も事業活動で継続使用できること
一般型の強みは、カタログに掲載されていないオーダーメイドの機械装置でも申請できる点にあります。
たとえば「自社の製造ラインに特化した専用搬送システム」や「店舗レイアウトに合わせたカスタム棚入れロボット」なども、要件を満たせば補助対象になります。
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出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト(製品カタログ)
https://mono-support.com/shoujinka
補助上限額と2026年3月19日の制度改定

2026年3月19日の制度改定により、補助上限額が大幅に引き上げられました。
改定前後の変更を把握していない場合、自社が受け取れる最大補助額を見誤る可能性があります。
補助上限額・採択スケジュール・制度の概要を一気に確認しましょう。
従業員規模別の補助上限額
補助上限額は「従業員数」によって区分されます。
2026年3月19日改定後の最新数値で確認してください。
【カタログ注文型】補助上限額(2026年3月19日改定後)
| 従業員規模 | 通常枠 | 大幅賃上げ特例 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20人 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
【一般型】補助上限額
| 従業員規模 | 通常枠 | 大幅賃上げ特例 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は1/2(中小企業)または2/3(小規模事業者・再生事業者)です。
「大幅賃上げ特例」は、補助事業期間終了後に給与支給総額を大幅に増加させる計画を持つ事業者が適用できる上乗せ枠です。
2026年3月改定で「大幅賃上げ」の定義が見直されました(最新の要件は公募要領をご確認ください)。
(2026年4月時点の情報です。最新情報は公募要領をご確認ください)
2026年3月19日の制度改定で何が変わったか
2026年3月19日の改定は、申請者にとって有利な変更が多く含まれています。
主な変更点4点を整理します。
①補助上限額の引き上げ
従業員5人以下の区分では従来の上限から引き上げられ、より大規模な省力化投資が補助対象になりました。
従業員101人以上の区分の上限は最大1億円(大幅賃上げ特例)となっています。
②収益納付ルールの廃止
改定前は補助を受けた設備で黒字が出ると、黒字の一部を返還する義務(収益納付)がありました。
改定後はこのルールが廃止され、補助を受けた設備で利益が出ても返還の心配がなくなりました。
③申請受付期間の延長
一般型の公募ごとの申請受付期間が延長されました。
第6回は2026年4月15日〜5月15日と約1ヶ月の受付期間が設けられています。
④大幅賃上げの定義見直し
大幅賃上げ特例の適用要件が緩和され、より多くの事業者が上乗せ補助を受けやすくなりました。
(2026年4月時点の情報です。最新情報は公募要領をご確認ください)
自社に適した類型の選び方
どちらの類型で申請するかは、3点で判断できます。
判断ポイント①:導入したい製品がカタログに登録されているか
カタログに登録済みの製品を導入する場合はカタログ注文型が選択肢になります。
登録されていない場合や、オーダーメイドの設備が必要な場合は一般型を選びます。
判断ポイント②:業種合致要件を満たしているか(カタログ注文型のみ)
カタログ注文型は、製品ごとに「対象業種」が設定されています。
自社の業種がその対象業種に合致しない場合、カタログ注文型では申請できません。
判断ポイント③:従業員が1名以上いるか
従業員が代表者のみ(0名)の場合、一般型は応募時点で従業員1名以上が必要なため申請できません。
カタログ注文型については、初回申請に限り申請できるケースがありますが、詳細は事務局に確認してください。
申請から採択・交付までのスケジュール

公募スケジュールと申請の流れを把握しておくことで、準備のタイミングを逃さずに済みます。
特にGビズIDの取得は申請の大前提です。取得に1〜2週間かかるため、今すぐ準備を開始することをお勧めします。
カタログ注文型は随時受付
カタログ注文型は公募期間が設けられておらず、通年で随時申請を受け付けています。
「次の公募を待つ必要がない」という点が最大のメリットです。
ただし、「交付決定前の発注は補助対象外」という原則は随時受付でも同様に適用されます。
申請前に製品を注文・購入してしまうと補助対象外になるため、必ず事前申請・交付決定通知の受領を確認してから発注してください。
カタログ注文型の交付決定までの期間は最短で約1ヶ月程度とされています(事務局の審査状況により変動します)。
一般型の公募スケジュール(第6回以降)
一般型は年3〜4回の公募が行われます。
2026年4月時点の最新スケジュールは以下の通りです。
| 公募回 | 公募開始 | 申請受付期間 | 採択発表予定 |
|---|---|---|---|
| 第6回 | 2026年3月13日 | 2026年4月15日〜5月15日 | 2026年8月下旬予定 |
| 第7回以降 | 詳細決定次第更新 | 年3〜4回予定 | — |
2026年3月19日の改定により、申請受付期間が延長されました。
第6回の申請期間(4月15日〜5月15日)を逃した場合は、第7回の公募開始を待つことになります。
(2026年4月時点の情報です。最新情報は公募要領をご確認ください)
申請ステップの流れ(GビズIDから交付まで)
申請から補助金受け取りまでの主要ステップは以下の通りです。
STEP 1:GビズIDプライムの取得(目安:1〜2週間)
法人・個人事業主の認証IDです。申請に必須のため早期取得を強くお勧めします。
STEP 2:事業者登録・製品選定
補助事業ポータルで事業者情報を登録し、導入する製品(カタログ型)または事業計画(一般型)を検討します。
STEP 3:申請書類の作成・提出
カタログ注文型は選定した製品を指定し申請。一般型は事業計画書を作成して提出します。
詳しい提出書類と注意点は中小企業省力化投資補助金の申請方法!手順・必要書類・注意点を解説でまとめています。
STEP 4:採択通知・交付決定
審査通過後に採択通知が届き、その後交付決定通知が発行されます。
交付決定通知を受け取るまで、発注・購入・契約を行ってはいけません。
STEP 5:補助事業の実施
交付決定後に機器の発注・導入・設置を行います。
STEP 6:実績報告・確定検査
補助事業完了後に実績報告書を提出し、事務局の確定検査を受けます。
STEP 7:補助金の交付(入金)
確定検査通過後に補助金が振り込まれます。
一般型の場合、申請から交付決定まで約3ヶ月かかるのが目安です。
余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
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出典:中小企業省力化投資補助金 公式スケジュールページ(一般型)
中小企業省力化投資補助金の活用メリット

この補助金を活用することで、経営上のいくつかの課題を同時に解消できます。
単なる「設備購入費の補助」にとどまらず、生産性向上・人材定着・付加価値向上と、中長期的な経営改善につながる点が大きな魅力です。
人手不足解消と生産性向上につながる
省力化機器の導入により、これまで人手に頼っていた作業を機械が代替します。
1人の作業員が担っていた業務を機器が自動化することで、限られた人員で同じ(またはそれ以上の)生産量・サービス提供が可能になります。
たとえば清掃ロボットを導入した宿泊施設では、客室清掃の時間が従来比30〜40%削減されたという事例が報告されています。
省力化によって空いた人手を、接客や商品開発などの付加価値の高い業務に振り向けることで、生産性の底上げが期待できます。
収益納付廃止で導入リスクが下がった
2026年3月19日の制度改定で最も注目すべき変更が、収益納付ルールの廃止です。
改定前は、補助を受けた設備を使って利益が出た場合、その一部を国に返還する義務(収益納付)がありました。
「頑張って黒字にしたら補助金を返さなければならない」という仕組みは、積極的な投資の妨げになっていました。
改定後はこのルールが完全に廃止され、補助を受けた設備でどれだけ収益を上げても返還は不要です。
導入リスクが大幅に低下したため、以前より踏み切りやすい制度に生まれ変わりました。
賃上げ・従業員定着率の向上にもつながる
この補助金には「賃上げ要件」があります。
補助事業期間中に従業員の給与支給総額を一定以上引き上げることが求められます。
賃上げを実現することで、従業員のモチベーション向上・離職率低下・採用力強化という好循環が生まれます。
補助金を活用しながら同時に労働環境改善を進められる点は大きなメリットです。
一方、賃上げ要件を達成できなかった場合は補助金の一部返還が求められる可能性があります。
計画段階で実現可能な賃上げ水準を設定することが、申請成功のカギです。
中小企業省力化投資補助金の業種別の活用事例

実際にどのような業種・場面で活用されているかを具体的に見ていきましょう。
自社のビジネスに近い事例を参考にすることで、導入イメージを具体化できます。
飲食業:スチームコンベクションオーブンの導入
厨房スタッフの不足に悩む飲食店では、スチームコンベクションオーブン(スチコン)の導入事例が多く見られます。
スチコンは温度・湿度・時間を自動制御して調理する機器で、以前は熟練スタッフが管理していた煮込み・蒸し・焼きなどの工程を機器が自動化します。
仕込み作業の省人化と料理品質の均一化を同時に実現できるのがメリットで、1台の導入で調理スタッフ0.5〜1名分の作業を代替できるという報告もあります。
宿泊業:清掃ロボットの導入
宿泊施設での清掃は労働集約的な作業の代表例です。
清掃ロボットを導入することで、廊下・エントランス・共用エリアの床面清掃を自動化できます。
清掃スタッフが機器に補完される形で、より付加価値の高い客室清掃や接客対応に集中できるようになります。
一定規模のホテルでは、清掃ロボット1台あたり清掃スタッフ1〜2名分の業務時間削減が報告されています。
製造業・物流業:無人搬送車(AGV・AMR)の導入
製造ラインや物流倉庫での搬送作業は、人の負担が大きい作業の一つです。
AGV(自動搬送車)やAMR(自律移動ロボット)の導入により、部品や荷物の搬送を自動化できます。
物流倉庫での活用事例では、ピッキング・仕分け・搬送の一連の流れを自動化することで、作業人員を大幅に削減した事例が増えています。
製造業では、工程間の部品搬送をAMRが担うことで、製造スタッフが本来の製造業務に専念できる環境が整います。
介護・福祉業:見守りセンサー・介護補助機器の導入
介護保険給付外サービスを提供する事業者や、自費型の福祉施設では、見守りセンサーや介護補助機器の導入が申請対象になります。
夜間の見守り業務は介護スタッフへの負担が大きく、センサーによる自動見守りシステムを導入することで夜間の巡回頻度を大幅に削減できます。
ただし、介護保険適用事業者はこの補助金の対象外です。
申請を検討する際は、自社のサービスが介護保険給付内か給付外かを明確にしてください。
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出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト(活用事例)
採択率と申請を成功させるポイント

申請を考えているなら、採択率の実態と採択されやすい申請書の作り方を知っておくことが大切です。
制度の趣旨を理解した計画書を作ることが、採択への近道です。
採択率の現状データ
一般型の採択率は公募ごとに発表されています。
第4回一般型の採択率は69.3%(応募2,100者中1,456者採択)でした。
約7割という採択率は「多くの申請者が採択されている」という安心感を与えますが、逆に言えば3割は不採択です。
しっかりとした事業計画書の作成が採択率向上のカギです。
カタログ注文型は書類審査の仕組みが一般型と異なり、事業計画書の審査よりも要件充足チェックが中心です。
要件さえ満たせば採択される可能性が高い類型といえます。
第1回〜第3回の採択率の推移や傾向については、中小企業省力化投資補助金の採択率は?第1回〜第3回結果を徹底分析!で詳しく解説しています。
(2026年4月時点の情報です。最新情報は公募要領をご確認ください)
事業計画書と賃上げ計画を連動させる
一般型の採択審査では、事業計画書の質が評価されます。
単に「機器を導入したい」という内容ではなく、「省力化によって何が改善され、生産性がどう向上し、賃上げをどのように実現するか」というストーリーの一貫性が、採択確率を高める鍵になります。
事業計画書と賃上げ計画を論理的に連動させることが、採択確率を高めるうえで最も効果的です。
たとえば「AGVの導入→搬送工数が月○時間削減→削減分のコストを賃金原資に充当→給与を○%引き上げ」という流れで書くと説得力が増します。
導入目的・省力化効果・賃上げ実現の三角形を明確に示しましょう。
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)を活用する
事業計画書の作成に不安がある場合、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)への相談が採択率向上に効果的です。
認定支援機関とは、国が認定した税理士・中小企業診断士・金融機関・コンサルティング会社などの専門家機関です。
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補助金申請代行の選び方や費用相場については、補助金申請代行とは?違法性と合法の境界線から費用相場・選び方まで徹底解説も参考にしてください。
補助金申請代行に特化した支援機関を選ぶと、さらに安心です。
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出典:第4回一般型採択結果|省力化投資補助金(一般型)採択率解説
https://www.tokyo-kst.jp/repo34.html
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中小企業省力化投資補助金の対象についてよくある質問
Q1. 中小企業省力化投資補助金の対象にならない業種はどれですか?
A. 医療法人・介護保険適用事業者・1次産業(農業・漁業・林業)が代表的な対象外業種です。医療法人は診療報酬、介護保険適用事業者は介護報酬という公的収入源との重複排除が理由です。ただし介護でも保険給付外サービスのみを行う事業者は申請できるケースがあります。(2026年4月時点)
Q2. アルバイトや役員は従業員数にカウントされますか?
A. 役員はカウント対象外です。アルバイト・パートタイマーは、週の所定労働時間が正社員の3/4以上(目安:週30時間以上)の場合にカウント対象となります。派遣社員は雇用関係が派遣元にあるためカウントしません。産休・育休中の社員は雇用継続中のためカウントします。
Q3. 事務用PCやタブレットは補助対象になりますか?
A. なりません。事務用PC・スマートフォン・タブレット・プリンタなどの汎用品は補助対象外です。省力化以外の目的にも使える汎用品は「補助金の趣旨に合致しない」として対象外とされています。省力化専用のソフトウェアと組み合わせて使う場合でも、端末自体は原則対象外です。
Q4. 交付決定前に製品を発注してしまった場合はどうなりますか?
A. 交付決定前に発注・購入・契約した費用はすべて補助対象外となります。「採択されたら買おう」ではなく、「交付決定通知書を受け取ってから発注する」というルールを徹底してください。GビズIDの取得・事業者登録・申請書類の作成は交付決定前でも問題なく進められます。
Q5. ものづくり補助金など他の補助金と同時に申請できますか?
A. 申請自体は可能ですが、同一設備・経費に対して複数の補助金を重複受給することはできません。また、現在交付決定を受けており補助事業が未完了の状態にある場合、省力化投資補助金への申請が制限されるケースがあります。詳細は公募要領または事務局にご確認ください。(2026年4月時点の情報です。最新情報は公募要領をご確認ください)
まとめ:中小企業省力化投資補助金の対象
この記事で解説した「中小企業省力化投資補助金の対象」についての要点をまとめます。
- 対象企業の基本要件:中小企業・小規模事業者等であること。業種ごとの従業員数・資本金の上限を確認し、みなし大企業・反社・税金滞納事業者は申請不可。
- 業種要件の注意点:医療法人・介護保険適用事業者は原則対象外(診療報酬・介護報酬との重複排除が理由)。1次産業も原則対象外。カタログ注文型は「業種合致要件」の確認が必要。
- 対象経費の考え方:汎用品(PC・スマホ・タブレット等)は対象外。交付決定前の発注・購入は補助対象外という点が最重要。一般型はオーダーメイド設備も対象になる。
- 2026年3月改定の主な変更点:補助上限額の引き上げ(最大1億円)・収益納付ルールの廃止・申請受付期間の延長・大幅賃上げ定義の見直し。改定により以前より申請しやすい制度になった。
- 申請に迷ったら専門家への相談を:事業計画書の作成・類型の選定・対象可否の判断は、補助金申請代行の専門家に相談することで採択率の向上が期待できます。
(2026年4月時点の情報です。最新情報は公募要領をご確認ください)
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記事の執筆者
株式会社イチドキリ 代表取締役
徳永 崇志
兵庫県西脇市出身。岡山大学教育学部出身。大手システムインテグレーターでエンジニアとしてのキャリアをスタートし、その後、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に携わる。株式会社レアジョブではAIを用いた新規事業の立ち上げに従事し、リリース1年で国内受験者数No.1のテストに導く。株式会社素材図書で副社長兼執行役員を務め、事業再構築補助金を活用した新規事業開発・立ち上げを担当。その後株式会社イチドキリを設立。現在は経済産業省(中小企業庁)認定の経営革新等支援機関として、システム開発に特化した補助金コンサルティング事業を運営。 2016年に「基本情報技術者試験」合格、2024年にGoogle認定資格「Google AI Essentials」、厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」取得。

