ものづくり補助金の活用を検討する際、「他の補助金と併用できないか?」と考える経営者は少なくありません。設備投資だけでなく、販路開拓やDX化も同時に進めたいというニーズは当然です。
実は、ものづくり補助金は条件を満たせば他の補助金との併用が可能です。ただし「異なる事業内容であること」が大原則で、ルールを守らないと不正受給とみなされるリスクもあります。
この記事では、ものづくり補助金と併用できる補助金の種類、具体的な成功パターン、注意すべきポイントを実例とともに解説します。複数の補助金を戦略的に活用し、自己資金の負担を抑えながら事業成長を加速させる方法がわかります。
- ものづくり補助金と併用できる補助金の基本
- ものづくり補助金と相性の良い補助金の組み合わせ例
- 国の補助金だけじゃない!併用の選択肢を広げる
- 補助金を併用するメリット
- 補助金を併用するデメリット
- ものづくり補助金の併用活用を成功させるコツ
- ものづくり補助金の併用についてよくある質問
- ものづくり補助金の申請支援ならイチドキリへ
ものづくり補助金と併用できる補助金の基本

ものづくり補助金は他の補助金との併用が可能ですが、無条件ではありません。「異なる事業内容であること」が絶対条件です。
ここでは併用の基本ルールと、2026年度に向けた最新の制度動向を解説します。
【2026年度からの重要な変更点】制度統合について
経済産業省・中小企業庁で、補助金制度の抜本的な見直しが進んでいます。「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合され、「新事業進出・ものづくり補助金(仮称)」へ再編される動きがあります。
制度の目的が「生産性向上」から「新事業展開」「省力化」へシフトする中、併用ルールも厳格化される見込みです。従来のルールだけでなく、最新の公募要領で「併用制限」の規定が強化されていないか、必ず確認してください。
ものづくり補助金の概要と対象事業
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業の経営革新を支援する設備投資等の制度です。現行の制度では、対象となる取り組みは「革新的な新製品・サービスの開発」に限定されています。
具体的には、AI搭載の新型製造ライン導入や特殊加工機による新部品開発など、これまでにない製品・サービスを生み出す事業が該当します。なお、既存の生産プロセスの改善や省力化・業務効率化を主目的とした取り組みは、現行の対象外となっているため、申請前に自社の事業内容が要件を満たしているかの確認が重要です。
補助上限額は従業員数や申請枠(製品・サービス高付加価値化枠など)によって異なりますが、最大で数千万円規模の補助を受けられます。革新的な新製品・サービスの開発に挑戦する事業者にとって、リスクを抑えながら一歩踏み出せる貴重な機会です。
併用可能な補助金の種類と条件
ものづくり補助金と併用が検討される主な補助金には、以下があります。
- 省力化投資補助金:人手不足の解消を目的とした、IoT・ロボット・AI等を活用した汎用製品の導入による業務の自動化・省力化を支援
- デジタル化・AI導入補助金:業務効率化やDX推進のためのITツール(会計ソフト、CAD、受発注システム等)導入を支援
- 小規模事業者持続化補助金:販路開拓(Webサイト制作、チラシ作成、店舗改装など)を支援
これらは目的や補助対象経費が異なります。「目的」と「経費」が明確に区分されていれば、同時期の申請・受給が可能です。それぞれの補助金で申請する内容が、独立した事業計画として成立していることが重要です。
併用できるケースとできないケースの違い
併用の可否を分ける最大のポイントは、「同一事業(同一の経費)」であるかどうかです。国や公的機関の補助金は、同一の対象経費への重複交付が禁止されています。
併用できるケース:
- 事業A(新製品開発)で「ものづくり補助金」により専用の加工機械を購入
- 事業B(既存事業の販路拡大)で「持続化補助金」によりWebサイトを制作し広告を出稿
目的(開発vs販路開拓)と経費(機械装置vs広告費)が別なので併用可能です。
併用できないケース:
- 事業Aで導入する「同じ機械装置」に対し、「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」の両方から補助を受け取る
これは「経費の重複」で二重受給として明確に禁止されています。同一の見積書を使い回す行為は絶対に避けてください。
※1 出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領|ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助金と相性の良い補助金の組み合わせ例

企業の課題は一つではありません。「生産性向上」と同時に「販路開拓」や「社内DX」を進めたい場合、複数の補助金を組み合わせることで効果的な投資が実現します。
ここでは具体的で相性の良い組み合わせパターンを紹介します。
中小企業省力化投資補助金との併用パターン
中小企業省力化投資補助金は、人手不足の解消と労働生産性の向上を目的に創設された補助金で、IoT・ロボットをはじめとする省力化効果の高い汎用製品の導入を支援します。ものづくり補助金と目的が重複する部分があるため同一設備への二重申請はできませんが、取り組みを明確に分けることで、両補助金を活用できる可能性があります。
活用例:
- 中小企業省力化投資補助金:飲食店舗における「配膳ロボット」「自動調理機器」「セルフレジ」など、カタログ登録された汎用的な省力化製品の導入に活用
- ものづくり補助金:既存の製造・調理ラインにおける「カスタム仕様の自動化設備」や「革新的な生産プロセスの改善」など、より高度な設備投資に活用
「汎用的な省力化(省力化投資補助金)」と「革新的な生産性向上(ものづくり補助金)」を取り組みの内容・対象設備で明確に使い分けることが重要です。なお、ものづくり補助金の交付決定から11か月以上経過していない場合は省力化投資補助金に申請できない制限があるため、両補助金の申請タイミングにも注意が必要です。
デジタル化・AI導入補助金との活用例
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)は、会計ソフトや受発注システムなどの導入に特化しています。設備投資とシステム投資を切り分けることで、両制度のメリットを享受できます。
活用例:
ものづくり補助金:業種特化の「生産管理SaaS」や「顧客向けAI診断ツール」など、新サービスとなるソフトウェアの開発・提供体制の構築に活用し、新たな収益源を創出
↓
デジタル化・AI導入補助金:ものづくり補助金で開発したソフトウェアを、登録済みITツールとして事務局に認定申請することで、導入を希望する中小企業・小規模事業者への普及・販路拡大に活用
製造現場の設備投資(ハードウェア中心)と、管理部門のソフト導入(ソフトウェア中心)を使い分けることで、会社全体の生産性を底上げできます。デジタル化・AI導入補助金は申請の手間が比較的少ないため、併用しやすい組み合わせです。
小規模事業者持続化補助金との同時活用のポイント
小規模事業者持続化補助金は、広告宣伝費や店舗改装費などが対象で、販路開拓に使いやすい制度です。
活用例:
- ものづくり補助金:革新的な「新商品」を開発するための製造設備や試作開発費に活用し、高品質な製品を生み出す体制を整備
- 持続化補助金:開発した新商品を広く認知させるための「ECサイト制作」、「Web広告配信」、「展示会出展」などを実施
「作る(開発)」プロセスと「売る(販路開拓)」プロセスで補助金を使い分けるのは、非常に合理的で成功しやすいパターンです。製品開発から販売までの一連の流れを補助金でカバーすることで、事業の立ち上げリスクを大幅に軽減できます。
※2 出典:デジタル化・AI導入補助金|サービスデザイン推進協議会
【ケース別】ものづくり補助金との併用パターン具体例

業種や課題に応じた3つの成功モデルを紹介します。自社の状況に近いケースを参考にしてください。
異なる補助金がどのように事業の各フェーズを支えるかを理解することが重要です。
ケース1:新工場設立と最新設備導入の併用例
地方で金属加工業を営むA社は、需要増に対応するため新工場の設立を計画していました。
新事業進出補助金:
新分野である「航空機部品」への参入を目指し、新工場の建設・改修にかかる建物費を申請。新事業進出補助金は建物費が補助対象経費に含まれており、補助率1/2・補助上限最大7,000万円(大幅賃上げ特例適用時は最大9,000万円)の活用により、大規模な設備投資の資金負担を軽減できる可能性があります。
中小企業省力化投資補助金:
既存工場における自動車部品製造ラインの省人化・効率化に向け、ローダ付きNC旋盤などの省力化設備の導入費用を申請。カタログ注文型(補助上限1,500万円)では登録済み製品をスピーディに申請でき、一般型(補助上限最大1億円)ではオーダーメイド性の高い自動化設備にも対応できます。「新拠点での新規事業(新事業進出補助金)」と「既存拠点での省力化・人手不足解消(省力化投資補助金)」を明確に切り分けることで、複数の大型補助金を組み合わせて活用できる可能性があります。
ケース2:DX化推進による生産性向上の併用例
卸売業のB社は、アナログな受発注業務と倉庫作業の非効率性に悩んでいました。
デジタル化・AI導入補助金:
インボイス制度対応を含む受発注システム・会計ソフトを導入。手書き伝票や電話対応などの事務作業時間を大幅に削減し、ペーパーレス化を推進します。
中小企業省力化投資補助金:
倉庫内物流の省人化・自動化に向け、無人搬送車(AGV・AMR) や自動倉庫・検品仕分システムなどカタログ登録済みの省力化製品を導入。ピッキング作業の人的ミス削減と搬送スピードの向上が期待でき、慢性的な人手不足の解消にも貢献します。補助率は中小企業1/2(小規模事業者2/3)、従業員規模に応じて補助上限3,000万円〜最大4,000万円まで活用できる可能性があります。
ケース3:新製品開発と販路開拓の併用例
食品メーカーのC社は、健康志向向けの新しいスイーツブランド立ち上げを計画しました。
ものづくり補助金:
特殊な製法が必要なスイーツを製造するための真空調理機や急速冷凍機を導入。試作開発から量産体制の構築までをカバーし、高品質な商品製造を実現します。
小規模事業者持続化補助金:
完成したスイーツを販売するためのブランドサイト制作と、地域の展示会への出展費用を申請。商品の認知度向上と初期顧客の獲得を狙います。
「良いものを作る」ための資金と、「それを広める」ための資金を別々に調達することで、商品ローンチ時の垂直立ち上げを成功させた事例です。特にBtoCビジネスにおいて非常に有効な戦略です。
※3 出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>|商工会議所地区
併用申請を検討する際の注意点

補助金の併用はメリットが大きい反面、ルールを逸脱すると採択されないばかりか、将来的な申請にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは特に注意すべき「二重受給」の定義や、申請時期に関する制限を解説します。
同一事業での二重受給が認められない理由
国の補助金は税金を原資としているため、「同一の事業・経費に対して、国から二重に補助を行うこと」は固く禁じられています。これを「重複受給の禁止」と言います。
同じ機械装置の見積書を使って複数の補助金に申請し、両方からお金を受け取ろうとすれば不正行為となります。たとえ経費の一部でも重複があれば対象外です。意図的でなくても、発覚すれば補助金の返還命令や加算金の支払い、社名公表などの重いペナルティを受けます。
16か月ルールによる申請制限について
近年、ものづくり補助金の公募要領には、過去に採択された事業者に対する制限が設けられています。
具体的には「過去の公募回で採択され、交付決定を受けた日から16ヶ月(公募回によってはそれ以上)経過していない事業者は申請対象外」となるルールです。短期間での連続受給を防ぐための措置です。
「昨年ものづくり補助金をもらったから、今年もまたもらおう」という計画は、期間が空いていない限り認められません。連続して投資を行いたい場合は、別の補助金制度(事業再構築や中小企業省力化投資補助金など)の活用を検討してください。
費目を分ければ併用できるケース
「同一事業」とみなされないためには、「費目(経費の使い道)」を明確に分けることが重要です。プロジェクト全体としては一つでも、補助対象となる経費を区分けすることで併用が可能になる場合があります。
認められる分け方:
- A事業(ものづくり補助金):製造ラインの機械装置費、システム構築費
- B事業(持続化補助金):新製品のチラシ作成費、ウェブサイト制作費
同じ会社が同じ時期に行うプロジェクトでも、それぞれの補助金で購入するモノやサービスが異なり、それぞれの事業目的達成のために必要不可欠であると論理的に説明できれば併用は可能です。「どの経費が、どの補助事業の成果に直結しているか」を混同させないことが重要です。
公募要領・FAQを必ず確認する重要性
補助金のルールは公募回ごとに頻繁に変更されます。「前回は大丈夫だったから」という思い込みは禁物です。特に併用に関するルールは、制度の変更に伴い厳格化される傾向にあります。
申請前には必ず、最新の公募要領と事務局が公開している「よくあるご質問(FAQ)」を確認してください。特に「他制度との併用」や「重複申請」に関する項目は必ずチェックが必要です。事務局に直接電話で問い合わせて、自社のケースが併用に当たるかどうかを確認し、その回答の言質を取っておくのも、リスク回避の有効な手段です。
※4 出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第22回)概要版|ものづくり補助金事務局
国の補助金だけじゃない!併用の選択肢を広げる

「補助金」というと、経産省や中小企業庁が管轄する国の制度ばかりに目が向きがちですが、視野を広げると他にも使える制度があります。
特に「助成金」や「自治体独自の補助金」は、国の補助金と併用しやすいケースが多く、積極的に活用すべきです。
助成金との併用はできる?補助金との違いを理解しよう
助成金(主に厚生労働省管轄)は、雇用や人材育成、労働環境の改善を支援する制度です。
- キャリアアップ助成金:非正規雇用の正社員化など
- 人材開発支援助成金:従業員の研修やスキルアップ支援
これらは「ヒト」に対する支援であり、「モノ・設備」に対する支援であるものづくり補助金とは支援の対象が明確に異なります。そのため、国の補助金と助成金は併用が可能である場合がほとんどです。
設備投資(ものづくり補助金)に合わせて、それを扱う人材の研修(人材開発支援助成金)を行ったり、賃上げ要件を満たすためにキャリアアップ助成金を活用したりと、相乗効果の高い併用が可能です。
地方自治体の補助金との併用パターンと注意点
都道府県や市区町村が独自に行っている補助金もあります。
- 上乗せ補助:国のものづくり補助金に採択された事業者に対し、自己負担分の一部を自治体がさらに補助してくれる制度。自己資金の持ち出しを減らせる大きなメリットがあります
- 独自制度:国とは関係なく、地域の課題解決のために実施される補助金
これらは併用が推奨されているケース(上乗せ補助など)もあれば、国の補助金との併用を禁止しているケースもあります。必ず自治体の要綱を確認してください。特に「国費が入っている自治体の補助金」は、国の補助金との重複とみなされ、併用できないことが多いので注意が必要です。
地方自治体の補助金を探す方法
地元の補助金を見逃さないためには、以下の方法で情報収集しましょう。
- J-Net21(中小企業基盤整備機構) 地域別の支援情報を検索できるポータルサイト。全国の自治体補助金を網羅的に検索できます
- 自治体の商工観光課HP 都道府県や市町村の公式サイトの事業者向けページ。最新の募集情報が掲載されています
- 地元の商工会議所・商工会 経営指導員に直接相談すると、まだ公になっていない情報を教えてもらえることもあります
それぞれ詳しく確認していきましょう。
※5 出典:支援情報ヘッドライン|J-Net21
補助金を併用するメリット

手間やリスクを管理してでも、補助金を併用することには大きな経営上のメリットがあります。
複数の資金源を確保することで、経営の安定性と成長速度を同時に高めることができます。
1. 資金調達を最大化できる利点
最大のメリットは、返済不要の資金を多く確保できる点です。
ものづくり補助金で1,000万円、事業再構築補助金で3,000万円、デジタル化・AI導入補助金で300万円採択されれば、合計4,300万円分の補助を受けられる可能性があります。これにより、自己資金や融資だけでは不可能な大規模投資が実現します。借入金の比率を下げることで、財務体質の改善にも寄与します。
2. 設備投資や新規事業のスピードを加速できる
資金的な余裕ができることで、投資の決断スピードが上がります。
「来年にしよう」と考えていた設備導入やシステム化を前倒しで実施できれば、競合他社に対して先行者利益を得ることができます。変化の激しい現代において、スピードは価値そのものです。併用によって資金調達のタイムラグを埋め、事業機会を逃さずに投資を実行できる点は、経営戦略上非常に大きなアドバンテージとなります。
3. 複数の施策を同時に進められる効果
「新商品開発」だけでは売れません。「生産体制の強化」と「販路開拓」と「バックオフィスの効率化」は、本来セットで進めるべきものです。
補助金を併用することで、これら複数の経営課題に同時にアプローチできます。ものづくり補助金で製造ラインを整えつつ、デジタル化・AI導入補助金で受発注システムを整備し、持続化補助金で販促を行うといった具合です。一点突破ではなく、面での事業強化が可能になり、事業の成功確率が飛躍的に高まります。
※6 出典:中小企業向け補助金・総合支援サイト|ミラサポplus
補助金を併用するデメリット

補助金の併用には負担やリスクも理解しておく必要があります。メリットだけでなくデメリットも考慮し、自社のリソースで対応可能かを慎重に判断しましょう。
主なデメリットは以下の通りです。
- 申請書類やスケジュール管理の負担
- 採択後に辞退が必要になる場合のリスク
- 不正受給とみなされるリスクへの注意点
それぞれ解説していきます。
1. 申請書類やスケジュール管理の負担
補助金の申請には、緻密な事業計画書の作成や膨大な添付書類の準備が必要です。複数の補助金に同時に申請する場合、その事務作業量は2倍、3倍になります。
また、それぞれの補助金で「交付申請」「実績報告」などの締め切りが異なるため、スケジュール管理が非常に複雑になります。各補助金の事務局とのやり取りや期限管理に追われ、本業がおろそかにならないよう、担当者を決めるなど体制を整える必要があります。
2. 採択後に辞退が必要になる場合のリスク
同一事業に対して複数の補助金に申請(併願)することは可能ですが、もし両方採択された場合は、どちらか一方を選んで辞退しなければなりません。
辞退の手続き自体は可能ですが、せっかく作成した計画が無駄になるだけでなく、辞退した履歴が残ることもあります。また、辞退手続き自体にも手間がかかります。あらかじめ本命を決め、もし両方受かったらどちらを選ぶかを決めておくなど、戦略的に申請する必要があります。
3. 不正受給とみなされるリスクへの注意点
経費の区分け(切り分け)が曖昧だと、事務局の検査で「経費の重複」を疑われるリスクがあります。
1台のPCをA事業とB事業の両方で使用する場合、どちらの経費とするか厳密な説明が求められます(汎用的なPCはそもそも対象外のケースも多いですが)。経理処理を明確にし、証憑書類(見積書、請求書、振込控)を完全に分けて管理する厳格さが求められます。少しでも疑わしい点があると、補助金全額の返還を求められる可能性があるため、管理には細心の注意が必要です。
※7 出典:補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)|e-Gov法令検索
ものづくり補助金の併用活用を成功させるコツ

複雑な併用申請を成功させ、採択を勝ち取るためのポイントをまとめました。ただ闇雲に申請するのではなく、戦略的に準備を進めることが重要です。
主なポイントは以下の通りです。
- 事業計画を複数補助金で整理する方法
- スケジュール管理と申請タイミングの工夫
- 専門家への相談で採択率を高める方法
それぞれ解説していきます。
1. 事業計画を複数補助金で整理する方法
複数の補助金を使う場合、「会社全体のロードマップ(全体構想)」をまず描くことが重要です。
- 会社として3〜5年後にどうなりたいか(ビジョン)
- そのために必要な取り組みは何か(課題の洗い出し)
- それぞれの課題解決に最適な補助金はどれか(マッチング)
この順序で整理すると、各事業計画書の内容に整合性が生まれ、審査員に対しても説得力のあるストーリーを提示できます。「使える補助金があるから申請する」ではなく、「事業計画のために補助金を使う」というスタンスが大切です。
2. スケジュール管理と申請タイミングの工夫
公募の締め切りは必ずしも重なりません。各補助金のスケジュールを把握し、無理のない計画を立てましょう。
- 同時申請:一気に事業を進めたい場合。事務負担は集中しますが、採択されれば短期間で事業を加速できます
- 時期ずらし:春にものづくり補助金で設備を入れ、秋に持続化補助金で広告を出すなど。資金繰りや事務負担を分散できます
資金繰り(入金のタイミング)も考慮し、無理のないスケジュールを組みましょう。特に補助金は「後払い」が基本なので、つなぎ融資などの資金調達計画もセットで考える必要があります。
3. 専門家への相談で採択率を高める方法
併用申請は単独申請よりも難易度が高く、経費の切り分けなどの専門知識が必要です。自分たちだけで判断するのはリスクが高い場合があります。
認定支援機関(中小企業診断士や税理士など)や、補助金申請サポートの実績が豊富なコンサルタントに相談することを強くお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、「制度の隙間を突くような危険な申請」を回避し、「ルールの範囲内で最大限のメリットを得る構成」を提案してもらえます。特に併用案件の実績がある専門家を選ぶと安心です。
ものづくり補助金の併用についてよくある質問
Q1. 過去にものづくり補助金に採択されたことがあっても、再度申請できますか?
いいえ、申請締切日を起点として過去3年以内に2回の交付決定(採択)を受けている場合は、申請することができません。また、申請締切日を起点に14ヶ月以内に採択された事業者も原則として対象外となります。
過去の採択が1回のみの場合は申請可能ですが、審査上の減点対象となります。いずれのケースも、必ず最新の公募要領でご自身の採択履歴・交付決定日を確認のうえ申請をご検討ください。
Q2. 申請した補助金が不採択だった場合、すぐに同じ補助金に再申請できますか?
可能です。次の公募回に修正して再チャレンジすることができます。
不採択の理由を分析し(事務局に理由を聞ける場合もあります)、計画書をブラッシュアップして再申請することで、採択されるケースは多くあります。ただし、公募要領が変更されている場合もあるため、最新のルールを確認して修正を加えることが重要です。
Q3. 複数の補助金に申請して両方採択された場合、どうすればよいですか?
同一事業内容の場合は、どちらか一方を選択し、もう一方を辞退する必要があります。補助金額が大きい方や、使い勝手が良い方を選ぶのが一般的です。
異なる事業内容であれば、両方受給することが可能です。辞退する場合は、速やかに事務局へ連絡し、所定の手続きを行ってください。放置するとトラブルの原因になります。
Q4. 補助金と助成金は同時に受給できますか?
基本的には可能です。補助金(経産省系:設備投資など)と助成金(厚労省系:雇用・人材など)は、支援の目的や対象経費が異なるため、併用しやすい組み合わせです。
設備投資にはものづくり補助金、それに伴う人材育成には人材開発支援助成金といった形で活用できます。ただし、同じ経費(例:賃金の一部など)に対する二重受給はできないため注意が必要です。
Q5. 補助金の併用について、どこに相談すれば良いですか?
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に相談するのが確実です。金融機関、商工会議所、税理士、民間コンサルティング会社などが登録されています。
複数制度の横断的な知識を持つ専門家を選ぶのがポイントです。自社の事業内容を理解し、適切な補助金の組み合わせを提案してくれるパートナーを見つけましょう。
ものづくり補助金の申請支援ならイチドキリへ
ものづくり補助金と他の補助金を併用することは、「事業目的」と「経費」を明確に分けることができれば可能です。
成功のカギ:
- 事業再構築、デジタル化・AI導入、持続化補助金などとの相性を理解する
- 「作る」「売る」「管理する」など、役割分担を明確にする
- 重複受給(二重取り)は絶対に避ける
- 助成金や自治体の制度も視野に入れる
複数の補助金を戦略的に活用できれば、自己資金の持ち出しを抑えながら、事業成長のスピードを格段に速めることができます。ただし、ルールは複雑で変更も多いため、自己判断せず専門家のサポートを得ながら進めるのが賢明です。
自社に最適な補助金の組み合わせを知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
記事の執筆者
株式会社イチドキリ 代表取締役
徳永 崇志
兵庫県西脇市出身。岡山大学教育学部出身。大手システムインテグレーターでエンジニアとしてのキャリアをスタートし、その後、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に携わる。株式会社レアジョブではAIを用いた新規事業の立ち上げに従事し、リリース1年で国内受験者数No.1のテストに導く。株式会社素材図書で副社長兼執行役員を務め、事業再構築補助金を活用した新規事業開発・立ち上げを担当。その後株式会社イチドキリを設立。現在は経済産業省(中小企業庁)認定の経営革新等支援機関として、システム開発に特化した補助金コンサルティング事業を運営。 2016年に「基本情報技術者試験」合格、2024年にGoogle認定資格「Google AI Essentials」、厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」取得。
